ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #05

【吉野家 田中安人】飛び込み営業がきっかけで、マーケティング責任者に就任(聞き手:ニトリ 田岡敬)

「信頼残高」があるからこそ、企画が実現する


田岡
 どちらも、かなり攻めた企画ですが、社内で反対意見はなかったのですか。

田中 実は、ダイオウイカは役員会を通さず、河村の一存で決めています。ここには、河村が社長でなかった頃から一緒に仕事をしてきたことで、僕が積み上げてきた「信頼残高」があったと思っています。外部のクリエイターも交えたクリエイティブチームと月に1回打ち合わせをしていますが、彼らが僕を信頼してくれるのも、やはり社長との関係があるからです。

 社長の河村とはメール、LINEなどで1時間以内に返答してもらうルールがあります。

 たとえば、ソフトバンクが吉野家で開催した「スーパーフライデー」(金曜日にソフトバンクユーザーが、吉野家の牛丼並盛が1杯もらえる企画)も河村との信頼残高があったからこそ生み出されたものです。



 ソフトバンクのマーケティング部長からご連絡をいただいて、米国では金曜日に「スーパーフライデー」というキャンペーンが始まっているので、日本でもこの企画を実施したいが、大掛かりな企画なこともあって国内で参加する企業がなかった。

 そこで「すぐにでも、この企画を実現させたい」という話だったので、条件面を交渉して、その場で社長にLINEを送ったら、すぐに「いいよ」という返事がきました。社長との信頼残高に基づくスピード感によって、最初に企画に乗れて話題になったことが勝敗を分けたと思います。

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