ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #09

人に会い、話を聞くことでこそ、ビジネスの構想は練られていく【サツドラ 富山浩樹、ニトリ 田岡敬】

前回の記事:
2代目社長 新方針へ反発、出店取り止め。ドラッグストアチェーンのサツドラは、社内改革をどう進めたのか

サツドラの今を築いた富山氏の思考法

田岡 富山さんがサツドラの社長に就任される前年の2014年には、北海道内の提携店で使えるポイントカード「EZOCA(エゾカ)」をスタート。ここ数年は、テンセントと提携して日本国内でWeChat Payを使える加盟店を募ったり、プライベートブランドを立ち上げたり、POSシステム開発事業会社やAI(人工知能)の会社を設立されたりと、本当にさまざまな挑戦をされています。

そもそも、そういった発想はどこから出てくるのでしょうか。
 

2014年~ 再成長期
富山さん社長就任前後からの改革し、マーケティング・IT強化

2014年 北海道内の提携店で使えるポイントカード「EZOCA(エゾカ)」発行開始
2015年 リブランディングを実施。PBサプリメント「Wellness Navi」展開開始
2016年 インバウンドフォーマットの出店も加速
店舗名称をサッポロドラッグストアーからサツドラに変更
2017年 POSシステムの開発事業を行うGRIT WORKSのほか、インバウンドマーケティング支援を行うVISIT MARKETINGを設立
AIテクノロジー開発事業を行うAI TOKYO LAB を子会社化

富山 今でもそうなのですが、いろいろな人の話を素直に聞きに行くということが一番いいと考えているんです。

田岡 まさに北海道人といったところで、すごく素直でいらっしゃいますよね。

富山
 感化されやすいんですよ(笑)。また、小売というメーカーやIT企業から営業されることが多い立場を生かして、いろいろ聞いていくと教えてくれることもあります。

そして、数珠繋ぎのようにツテをたどっていくと、キーマンに会わせてもらうこともできます。次第にメンターのような存在も増えていくため、構想を練りたいときには、いろいろな人に話して意見を聞くようにしているんです。



田岡 “情報のわらしべ長者”のように、いろいろな人の意見を聞くうちに「描く絵」が大きくなっていくイメージですね。

富山
 そうです。最終的に、それを自分なりにまとめていくというスタイルです。社長になったことで、より行動範囲やネットワークが広がったなと感じています。

田岡 社長になれば、威張りたくなることもあるのではと思いますが、なぜそんなに謙虚なのですか。

富山
 それには、バックボーンとしてサツドラの前に、流通の中で最も立場が弱い中間流通にいた経験もあると思います。メーカーや小売、社内など関係者が多い中で調整役に徹することが多く、ハードでしたが、いい経験でした。また、小売の偉そうな態度などを客観的に見る機会があったというのも大きかったと思います。

田岡 どんどん新しいことを展開されていることについては、富山さん自身も新しいもの好きだということなのでしょうか。

富山
 それもありますが、今あるものは資産だと捉え、それをどう活かして価値を出していくかを常に考えているんです。チェーンストアで世の中を変えたいという強い思いは引き続き持っているのですが、僕としてはどの事業もそのテーマから外れていないと考えています。



 ただ、小売は消費者しか顧客として見ませんが、僕は卸で営業をやっていた経験からEZOCAやWeChat PayなどのようにBtoBで横展開しようという発想が生まれたとは言えるのかもしれませんね。
 

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