自由の毒味 #03

広告代理店とクライアントとの新しい関係性の模索、「共創」というスタイル

前回の記事:
話題のコワーキングスペース「WeWork」に入居したら、何が起きたのか【サインコサイン 加来幸樹】

「共創」を意識するようになったきっかけ

 前回の「自由の毒味#2」では、自由が必要な時代の中で「オフィス」に着目し、活動拠点としてなぜWeWorkを選んだのか、どのようなメリット/デメリットを感じているのか、についてご紹介いたしました。

 3回目となる今回は、なぜサインコサインが「共創」という制作スタイルを大切にしているのか、についてお伝えしたいと思います。

 第1回目の記事でも少し触れましたが、私は約4年前から、本業であるインターネット広告会社のクリエイティブディレクターと並行して、主にタイムチケットというプラットフォームを活用しながら30分でネーミングやキャッチコピーを考案する、という活動を行ってきました。

 その活動から、「自分だけでなく依頼主も一緒になってアイデアを考え抜いて、ヘトヘトに疲れているときほど良いアウトプットに辿り着くことが多い」ということに気が付き、そこで私が提供している本当の価値はネーミングやコピーをつくり提供することではなく、良いアウトプットに共に辿り着くための「共創」の場づくりにあるのだと思い直しました。

 この感覚に気づいてからは、「ファシリテーション(集団による問題解決やアイデア創造を支援し、促進していく働き)」という切り口でのスキルアップやインプットも心がけるようになり、本業においても従来のクリエイティブディレクターの枠を超えた「共創のファシリテーター」としての価値提供も目指すようになっていきました。


 

全員で同じゴールを見て仕事をしているか?

 一方で、日々の仕事現場に目を向けてみると「共創」とは、ほど遠い現実に直面することが少なくありませんでした。

 例えば競合コンペです。競合コンペは、もちろん最適なパートナーやプランニングを採択するために有効なやり方ではあるのですが、結果に関わらず、オリエンやプレゼンのために必要以上の時間を要したり、競合と差をつけるためのプランニングやプレゼン手法といった、本来の課題解決とはズレた部分にリソースが割かれたりしてしまうと、本末転倒な事態も起こりかねません。

 また、本来は「共創」できていて当たり前なはずの社内プロジェクトにおいても、事業規模の拡大に伴って部門間で見ているゴールが異なったり、プロジェクトに対して自責を持ちにくくなってしまったり、メンバー各々が自分の意見や考えを出し合い難くなってしまう、というのは各社共通の悩みではないでしょうか。

 すなわち社内外において、本来は力を合わせなければならないクライアントやパートナーと「共創」するどころか、お互いの顔色だけを伺い合うような状態になっているといっても過言ではないかもしれません。
 
 

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