変革のカギを握るCxOの挑戦 #01

味の素をパーパス経営にシフトした福士博司氏が語る、変革の全貌とは

 

常に自らが行動し、勝負と成長セグメントを見る


石戸 福士さんなりの、変革を起こす思考法とは、どういったものですか。

福士 変革を起こそうとしたそもそもの背景は、「経営はいろいろな人がいて成り立つものなのではないか」と思ったことですね。だからMBAを取得して経営志向になり、最終的には技術系出身の経営者として、味の素で新たなロールモデルをつくりました。

石戸 ご自身でチャンスをつくりに行動されていったということですね。では、普段はどのようなことにアンテナを張って、どのような情報を仕入れているのでしょうか。

福士 世の中の成長セグメントはどこなのかということに、いつも注視していますね。最近で言えば、環境やヘルスケア、デジタル、安心・安全・快適。これ以外はないと思います。
   
対談中の福士氏(左)と石戸氏(右)

石戸 なるほど。成長セグメントがどこかを見ながら、その周辺をいろいろとうかがってキャッチアップされているのですね。

福士 そうですね。それ自体はみなさん本能的にやっておられることなのではと思いますが、重要なのは、それに向けて本当に変われるかどうか。世の中の産業構造の変化が驚くほどのスピードで進んでいるので、株式会社である以上は、成長セグメントの周辺で勝負していなければ、当然落ちていってしまいます。10年後にはおそらく、今の産業構造は圧倒的に変わっているはずなんですよ。

※後編「技術者から経営者へ、新たなロールモデルの挑戦と何度も組織を立て直した福士博司氏のキャリアとは」に続く
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