ドラクエ的マーケターキャリア調合術 ― スキルセット×マインドセット、それとちょっぴりの「運」 #03

転職の第一歩!自分の市場価値を把握するための「キャリアの棚卸しシート」を公開

前回の記事:
キャリアアップしたいマーケターが、「転職」を考える前にやるべき2つのこと

キャリアチェンジのための第一歩は「キャリアの棚卸し」

 これまでのお話の中で、皆さんのキャリア形成のための「旅の地図」(自分はこれからどこを目指すか)、そして外部環境に依存する前にできる「日々の準備」、という少し概念的なことについて説明してきました。その上で、今回は「転職」という具体的なノウハウについて少し触れてみたいと思います。

 初回でも触れましたが、私の経験上、転職はあくまで「何になりたいか」よりも「何をやりたいか」に集中して考えをまとめていったほうがいいと言えます。転職の志望理由はもちろん、話をする相手となる企業の業務・人事担当者との面接もスムーズに運びますし、もちろん結果もついてきます。

 そして、「何をやりたいか」という考えをまとめるのにとても有効なのが、いわゆる「キャリアの棚卸し」です。



 図表1は、皆さんが新卒入社1年目だとしても、すでに複数社を経験した方であっても、すべての方に有効に活用できる、キャリアパスをまとめる上で実用的な「キャリア棚卸しシート」です。

 人材バンクネット(運営:株式会社アイ・キュー)がまとめているコラムに掲載されていたものを、私が加筆してまとめ直しています。

 このシートをまとめることは、過去(または現在)に自分が何をしてきたか、何があったかを見つめ直すことになります。そして、それはそのまま、次に何をしたい、将来どうなりたい、といった問いへの答えを導き出すことにつながります。

 また、もちろんこのシートが職務経歴書、そして面接などでのアピールポイントにもなりますので、とても貴重な成果物を得ることもできます。

 

「キャリア棚卸しシート」に記入してみよう


 シートの記入方法を順に見ていきましょう。

 まず、過去(現在が1社目なら、現在のみ)に経験した「マーケティング職種」(メディアバイイング、デジタルマーケティングなど)を記入します。

 初めての転職の場合、自分が経験した、または担当している仕事が、業界または人材紹介における職種名(Job Role)としてどう表現・記載されているかを確認しておくと、今後検索・登録する際にマッチングが増えるので、地味ながら大切なポイントです。

 次が業種です。マーケティングの仕事を、どんな業種・ビジネスのために担当したのか。また、ここでは部署やチームの規模、リーダーであれば何人を率いたのか、プロジェクトチームとして担当したのであれば社内外の外部リソースを含めて何人体制だったのか、も記載しておきます。
 
©123RF
 次に、プロジェクト毎、担当業務や部署毎に担当した業務の、自分としての評価と満足度をつけていきます。あくまで自分の視点からで結構です。ただし「盛って」はいけません。

 「できた/できなかった」「上司や外部からどう評価された、何を言われた」は別として、自分に正直に、自分としてどう感じたかを記載します。評価基準は1~5の5段階でも、高い~中程度~低いでも構いません。

 また、外部視点や、あやふやでない絶対的な評価ということでいえば、補足としてそのプロジェクトや職務で達成しなければならなかったKPI(またはKGI)に対してどうだったのかを記載しておくことは重要です。

 売上目標、新規顧客獲得などの予算達成、顧客満足度やNPS、メディアリーチなどさまざまあると思いますが、そちらの結果もまとめておきます。

 ここまでの「職種」「業種」そして「自己評価」の部分が、あなたの「職務経歴書」に記載すべきコアな情報となります。


 評価をまとめたら、自分がどうしてそのような評価をしたのかを考えてみましょう。

 KPIは達成できたが、自分としては納得がいかなかった。評価が低い場合は特に、自らで掲げた(もしくは考えた)理想の形と現実にギャップがあったからこそ、そのような評価に至ったのだと考えられます。
ちなみに、この自らでつけた「評価が低い」は、とても前向きかつ建設的に捉えるべきです。現状に甘んじず、もっとこうできたはず、もっと違うやり方もあった、周りをもっと巻き込めた、成果は出したが外部の要因に助けられた……など、今後のスキルセットの獲得につながる重要な洗い出しになるからです。

 また、この作業全体に言えることですが、ポジティブな気持ちで行うことも大事です。

 評価が低いからといって自分で自分の「NO」を言うのではなく、自己を肯定して信じながら、次はどんなふうにできるだろうかと未知の部分を楽しんで挑戦するマインドセットが、この先の旅であなたを助けてくれるでしょう。

 もちろん、評価が高いもの、自分として納得ができた領域は大事にすべきです。達成するために行った施策や努力、そしてその実績は、そのままやはり職務経歴書や面接で伝えるべき重要なアピールポイントとなります。

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