変革のカギを握るCxOの挑戦 #12

UCC上島珈琲の副社長に抜擢された背景とは【UCC 里見副社長】

 

「自信」と「謙虚さ」の両立が大切


石戸 里見さんが会社の経営や変革をしていくうえで、大切にしていることはありますか。

里見 常に意識していることは、「自信と謙虚さを高い次元で両立させる」ということです。どのような場面においても、自信がなさそうな人の言うことは、誰も聞かないと思います。ただ、その自信も何らかのロジックがなければ持てないものです。一方で、自信満々で上から目線の発言も、それはそれで話を聞いてもらえないと思います。

そのため、私はいつでも謙虚さを大切にし、いろいろな人の意見を聞いて、軌道修正ができるようにしています。ただ、謙虚になりすぎると自信が薄れ卑屈さや意思の弱さに繋がってしまうこともあるので、自信と謙虚さをどちらも高い状態で保てるように意識をしています。それが、何かを変えたり、話を進めたりするときに、うまくいくポイントのひとつなのかなと考えています。

新卒でコンサルタントとして働いていたとき、周りに頭のよい人ばかりいて、自信がなくなってしまい、自信を持たなきゃという気持ちが強かった時期がありました。自信のないコンサルタントの意見なんて聞きたくないと思いますし・・・加えて大学の恩師から常に謙虚に学び続けなさいと言われたことも強く頭に残っています。自信と謙虚さはやや矛盾する概念に一見感じるのですが、両方を止揚させることはできるのではないかと考えたことがあり、そこから自信と謙虚さの両方を大切にしようと心がけています。
  
自信と謙虚さについて語る里見氏

石戸 里見さんからは謙虚さがにじみ出ているように感じます。

里見 おそらく、昔はそんなではなかったと思います(笑)。学生時代の友人からは、社会人になってから随分と変わったねと言われることがありますよ。

石戸 とはいえ、世の中には自信を持ちたくても持てないという人もいると思います。ほどよく自信を持つというのは、簡単ではない気もするのですが。

里見 その通りだと思います。そのため、私はいつも反省やレビューを繰り返しているんです。反省しなければ、自信は持てないので「反省マニア」のような一面があるかもしれません。たとえば、PR発表会などのイベントを終えたら、毎回必ず周囲の人や同行してくれた社員に何点だったか、具体的にどうだったかを聞くようにしています。

石戸 そういうことですね。自分で反省するだけでなく周囲にも聞いて、それを繰り返し続けることで、正しい方向に向かっているという自信が付いてくるんですね。それこそ、謙虚さがなければ他人の意見を聞けないですよね。

里見 そうかもしれないです。そういう意味では、謙虚さが自信につながるし、自信を持って踏み込まなければ反省すらできないということなのかもしれません。

石戸 これは興味深いマインドですね。
  
里見氏のマインドについて質問する石戸氏

里見 ほかには、現場のリアリティや何事も楽しむことを大事にしています。関西弁で言うと、オモロがる感じですね。イジるイジられる、ボケるツッコむ、皆で笑うといったことは仕事でもとても大事な気がしていて、楽しんでこそ新しいものや創造的なものが生まれると思います。とはいえそうしないとしんどいから、という理由が一番ですかね(笑)。

石戸 ちなみに、里見さんの年齢だとオーナーや他の経営陣は年上であることが多いと思うのですが、普段から気をつけている点などはありますか。

里見 私は基本的に、仕事をかなり丁寧に進めるほうかもしれません。準備もそうですし、事前に意見をうかがうということも重視しています。一方で、自分が自信を持って言える意見は、会議などで必ず伝えるようにもしています。

あとは、基本的にニコニコしていますね。「どうすればうまくいくんですか」とよく聞かれますが、「とりあえずニコニコしておきましょう」と毎回答えています。社内外問わず、一人の人間として可愛がられるということは、非常に重要だと思っています。

※後編「パーパスやバリューを刷新したUCCグループ、経営戦略と海外ビジネスの裏側に迫る【UCC上島珈琲 副社長 里見陵氏】」に続く
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