変革のカギを握るCxOの挑戦 #16

オルビス小林琢磨社長が語る、マーケティング責任者に求める3つの力

前回の記事:
創業25年のZOZO、なぜ若手メンバーが活躍し続ける職場を実現できるのか【取締役兼COO 廣瀬文慎氏】
 小林製薬 執行役員 CDOの石戸亮氏がマーケティング・DX・CX領域で活躍するエグゼクティブにインタビューし、その人が実績を出している裏側にある考え方を解き明かしていく連載。

 第8回は、オルビス 代表取締役社長の小林琢磨氏をスピーカーに迎えたマーケティングカンファレンス「ネプラス・ユー大阪2023」のセッション「デジタルは当たり前の経営者が議論。『マーケティング現場力』に踏み込む」をレポートする。マーケターや事業責任者に求められる「行動力」と「現場力」や組織づくり、社内外での連携などについて、オルビスの実践を詳しく聞いた。
 

お客さま視点で店舗と通販の“ハブ”となるアプリを提供


石戸 ネプラス・ユー大阪に、オルビスの小林琢磨社長をお迎えしました。まずは、小林さんのご経歴をお聞きできますか。

小林 私は2002年、新卒でポーラに入社しました。その後、2010年に社内ベンチャーで敏感肌向けのブランドを立ち上げ、8年間経営しました。2018年からはオルビスの代表を務めています。2020年からは持ち株会社のポーラ・オルビスホールディングスの取締役を兼任し、M&AやVCも担当しています。
 
オルビス 代表取締役社長
小林 琢磨 氏

2002年 株式会社ポーラ入社。2010年グループの社内ベンチャーで起ち上げた敏感肌専門ブランド株式会社DECENCIA代表取締役社長。同ブランドを50億のビジネスに導いた後、2017年オルビス株式会社マーケティング担当取締役、2018年代表取締役社長に就任。リブランディング、構造改革、組織変革を実行。リブランディング以降、顧客エンゲージメントの指標を限界利益LTVにシフトし、数々のヒット商品を生み出すとともに、EC向け出荷ラインに330台のAGV導入による物流センターの自動化、アプリをコアにパーソナライズされたCX戦略の実行や顧客価値創出のためのブランド体験などDXを牽引。
ポーラ・オルビスホールディングス取締役を兼務。早稲田大学大学院MBA。

石戸 老舗企業の中で変革に取り組まれてきたのですね。オルビスの事業についても紹介いただけますか。

小林 もともと通販から始まった会社で、現在の売上は約400億円です。売上は国内比率が高く、その中でも約7割が通販で、直営店を全国93店舗展開しています。

ひとりのお客さまでも、店舗に行って買い物のプロセスを楽しみたい日もあれば、商品をすぐに手に入れるために通販で購入する日もあります。チャネルを横断して行き来する“ハブ”として、公式アプリを提供しています。ダウンロード数が500万、会員数は300万人を超えています。アプリをハブに通販と店舗を回遊してくれる人のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)は、どちらかだけを利用する人よりも高いです。常にお客さま視点でのサービス設計に注力してきました。
 
小林製薬 執行役員CDO
石戸 亮 氏

サイバーエージェント入社、子会社2社の取締役を務め、Google Japanにおいて大手広告主のデジタルマーケティングを支援、イスラエル発のAIスタートアップ企業のデートラマでは日本市場参入を推進。セールスフォース・ドットコムによるデートラマ買収時には、日本市場におけるPMIをリード。2020年4月からパイオニアの全社CDOやカンパニーCMOとして非上場後の再成長期に従事。小林製薬では2021年よりデジタル戦略アドバイザーを務め、2023年より同社へ入社し、CDOとして全社のDX推進を牽引している。ノバセルの事業戦略アドバイザーも兼任。マーケターやIT企業、スタートアップ企業の集まる東京タワー近くの肉バル「Trim」のオーナー。趣味はキャンプ。

石戸
 実は私もオルビスユーザーなんです。日本で初めて肌への機能が認められた特定保健用食品の「ORBIS DEFENCERA(オルビス ディフェンセラ)」を飲んでいます。知り合いから勧められて、試してみると肌の調子が良くなりました。アプリも使いやすいです。

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