変革のカギを握るCxOの挑戦 #19

社長が人気お笑いコンビのコントを実演? DXを推進する富士通の独特な仕組みづくり【執行役員 EVP・CDXO・CIO福田譲】

前回の記事:
ファイナンスの経験がないYogiboのCFOが語る、「最初の一歩目」を踏み出すことの大切さ【取締役 CFO 小猿 雄一氏】
 小林製薬 執行役員 CDOの石戸亮氏がマーケティング・DX・CX領域で活躍するエグゼクティブにインタビューし、その人が実績を出している裏側にある考え方を解き明かしていく連載。

 第10回は、SAPジャパンの代表取締役社長から、2020年4月に富士通へ転職し、執行役員 EVP・CDXO(Chief Digital Transformation Officer)・CIO (Chief Information Officer)として富士通のDXプロジェクトをリードする福田譲氏が登場する。創業80年を超え、グローバルで約13万人の社員を抱える富士通のDXプロジェクトとは何なのか、その組織体制や変革を牽引する福田氏の考え方を詳しく聞いた。
 

SAPジャパンの社長から富士通へ転身


石戸 まずは、福田さんのご経歴をお聞きできますか。

福田 私は1997年に新卒でSAPジャパンに入社しました。SAPはドイツに本社を置く欧州最大規模のIT企業です。そこでERP(基幹系情報システム)の導入による業務改革や経営改革、高度情報化の導入支援などに携わりました。その後、生え抜き社員として初めて2014年7月に代表取締役社長に就任し、約6年間、日本法人の経営に携わりました。日本型のデジタル変革に自ら一人称で取り組みたいと考え、2020年4月に富士通に転職し、現在に至ります。
 
富士通 執行役員 EVP・CDXO・CIO
福田 譲 氏

 1997年SAPジャパン入社、23年間勤務。2014~20年の約6年間、代表取締役社長。2020年4月、富士通に入社、現職。CDXO(最高デジタル変革責任者)および社内ITの責任者CIOとして同社自身のDX、日本型DXの探索・実践とフレームワーク化、そしてそれらの変革を推進するITシステム、IT部門、IT人材、そしてITガバナンスの変革に取り組んでいる。「日本を、世界を、もっと元気に!」がパーパス。

石戸 富士通ではCDXO 兼 CIO として、全社のDXプロジェクト「フジトラ(Fujitsu Transformation)」を主導されています。フジトラとは、どのような取り組みなのでしょうか。

福田 「DXプロジェクト」と言っていますが、デジタル技術に限らず、富士通を変革(トランスフォーム)する動きをすべて「フジトラ」と定義しています。我々がどのような会社になりたいかというパーパスを定めて、それとのギャップを埋めるためにCX(顧客体験)やマネジメント、オペレーション、企業文化、個人のスキル、ITなど、さまざまな改革を行っています。

これらの改革を私がすべて手掛けているわけではありません。各部門の役員が主導しているケースもありますし、「DXオフィサー」と呼ばれる約60人の各部門のDXリーダーが推進しているケースもあります。それらの全てをフジトラとして全体を俯瞰し、私がCDXOとして推進するという体制です。

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