変革のカギを握るCxOの挑戦 #21

15歳起業で注目を集めたレシート買い取りONE 山内奏人氏、22歳のいま考える経営戦略

前回の記事:
富士通の全社DXプロジェクト「フジトラ」、実現した先に見据える未来【執行役員 EVP・CDXO・CIO福田譲】
 小林製薬 執行役員 CDOの石戸亮氏がマーケティング・DX・CX領域で活躍するエグゼクティブにインタビューし、その人が実績を出している裏側にある考え方を解き明かしていく連載。

 第11回は、2016年、15歳の時にWED(当時:ウォルト)を創業し、「10代の天才プログラマー」や「高校生起業家」として注目を集めた同社 代表取締役 山内奏人氏が登場する。レシート買取&お買い物アプリ「ONE」をメインプロダクトに会社を拡大し、現在は約60人の社員を率いる山内氏に、起業のエピソードや現代のマーケティングに必要なこと、一般的なスタートアップと逆張りする経営戦略など幅広く聞いた。
 

中学2年生で「クラシル」を運営するdelyに入る


石戸 まずは、山内さんのご経歴をお聞きできますか。

山内 中学2年生の頃に、料理レシピ動画メディアの「クラシル」を運営するdelyに8人目のメンバーとして加わったことが、ぼくの中では大きな経験でした。
 
WED 代表取締役
山内 奏人 氏

 2001年東京都出身。10歳から独学でプログラミングを始め、2012年に「中高生国際Rubyプログラミング コンテスト」の15歳以下の部で最優秀賞を受賞。 2016年に現・WED株式会社を創業。 2018年にお金がもらえるお買い物アプリ「ONE」をリリースし、同年Forbes 30 Under 30 Asia 2018に二部門選出される。

石戸 えっ、中学2年生でdelyのメンバーになったのですか? 8人目というと、ほぼ創業メンバーですね。

山内 はい。エンジニアとしてお手伝いさせてもらい、それがスタートアップという存在を漠然と認識するきっかけになりました。その後delyは当時、ぼくが関わっていたフードデリバリーサービス事業からは撤退することになり、ぼくを含めてメンバーは一旦解散しました。そしてぼくは2016年、高校1年生の15歳のときにウォルトを創業しました。

石戸
 そもそも中学生でdelyにエンジニアとして入ったきっかけは何だったんでしょうか。

山内 小学6年生のときに「中高生国際Rubyプログラミングコンテスト」に参加して、15歳以下(中学生以下)の部で最優秀賞を受賞して話題になったことです。中学生になってからは、プロダクトをつくるコンテストやビジネスコンテストの勉強会に参加する中で、ベンチャーキャピタルのEast Venturesの投資家である松山太河さんに出会いました。そこで、プログラミングコンテストで最優秀賞を受賞した学生だと注目され、East Venturesが運営しているシェアオフィスを好きに使っていいと言われ、出入りするようになったんです。

石戸 なるほど、delyはEast Venturesの投資先のひとつだったんですね。

山内 そうです。East Venturesの投資先でした。そこで松山太河さん経由で、当時大学生であったdelyの堀江裕介(代表取締役)さんと出会い、少し働いてみることになりました。当時ぼくは平日は学校に通っていたので、土日に働いていましたね。

石戸 最近では小学生からプログラミングを学ばせる風潮があると思いますが、当時はそうでもなかったですよね。山内さんは、どのようにプログラミングに出会い、なぜのめり込んでいったのでしょうか。
 
小林製薬 執行役員CDOユニット ユニット長 
石戸 亮 氏

 サイバーエージェント入社、子会社2社の取締役を務め、Google Japanにおいて大手広告主のデジタルマーケティングを支援、イスラエル発のAIスタートアップ企業のデートラマでは日本市場参入を推進。セールスフォース・ドットコムによるデートラマ買収時には、日本市場におけるPMIをリード。2020年4月からパイオニアの全社CDOやカンパニーCMOとして非上場後の再成長期に従事。小林製薬では2021年よりデジタル戦略アドバイザーを務め、2023年より同社へ入社し、CDOとして全社のDX推進を牽引している。ノバセルの事業戦略アドバイザーも兼任。マーケターやIT企業、スタートアップ企業の集まる東京タワー近くの肉バル「Trim」のオーナー。趣味はキャンプ。

山内 いつの時代も「パソコン少年」と呼ばれるような子はいると思います。ぼくもそのような少年でした。小学4年生のとき、父親が家で使っていた古いラップトップパソコンをぼくにくれたんです。

ただ、それがインターネットに繋がっていなかったので、できることと言えばWordとExcel、プログラミングだけ。それでプログラミングを始めてみたら、楽しくてハマったんです。

石戸 生粋の「パソコン少年」だったんですね。でも、パソコンをもらってからたった2年でプログラミングコンテストで最優秀賞を受賞したのは素晴らしいです。現在は、子どもにプログラミングを学ばせたい親御さんが多いと思います。そんなときは、子どもにインターネットに繋がらないパソコンを渡せば、プログラミングの楽しさに目覚めてくれるかもしれませんね(笑)。

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