自由の毒味 #04
未来の働き方「副業3.0」を実践してみた成果と苦悩をレポート【サインコサイン 加来 幸樹】
会社の価値が問われる時代に会社の枠を超えたチームをつくる
サインコサインでは「SIGNCOSIGN TEAM COMMUNITY」という数十名規模のサロンを形成し、オンライングループやオフラインイベントでの情報共有や議論を日々行っています。全員がサインコサインとは別の本業があるのですが、各々が自分自身のビジョン・ミッションを持っており、会社の中では意思決定が難しいチャレンジやスキルアップの機会を求めて参画してくれています。
例えば、Pinterestでコミュニティマネージャーを務めるメンバーには、不動産会社のコワーキングスペースでのコンテンツづくりに協力してもらうことを通じて、サービスの啓蒙に活かしてもらったり、マネーフォワードでマーケティングを担当するメンバーの「クラウド会計ソフトを潜在層にもカジュアルに訴求していきたいが、社内でのプロジェクト化が難しい」という悩みをきっかけに、WeWork Icebergを舞台に、新しい働き方を啓蒙するイベントを共催しました。
また、それぞれの近況や課題感をカジュアルに報告できる場として、スナックイベントや餃子パーティーも定期的に行っているのですが、仕事の間隔が空いてしまっているパートナーと顔を合わせたり、新しいメンバー・パートナー候補と出会える機会になっています。
受発注の意思決定などにおいても、個人レベルでの関係性がますます重要になっているので、こういった場でそれぞれの人間性(humanity)を定期的に認識し合うことには非常に価値があると考えています。
また、面白い現象として、正式な雇用や契約関係にあるわけではない数名のコミュニティメンバーがFacebookプロフィールの職歴欄にサインコサインを追加してくれました。これを見た周囲からは「え?辞めたの?転職したの?」といったリアクションもあり、ちょっとザワつくのですが、このように会社という場を楽しんでくれるのはとても嬉しいですし、心強い覚悟の表明だと思っています。このようなメンバーがひとりでも二人でも増えるようにチームを活性化させていきたいです。
行動する人が起点になり、共感する人が支援する
このようなコミュニティ型のチーム形成には、大きな可能性があると感じている一方で、従来の組織マネジメント以上の難しさも数多くあります。最近、注目されているティール組織において「変化は、それを必要と感じる人が起点となる」と言われているように、自発的に行動を起こす人がいないと何も始まりませんし、またその人に周囲の共感を得ながら巻き込み、推進していく力がなければ物事は前に進んでいきません。それらを強制的にではなく、自然発生するような環境をつくらなければ持続的なコミュニティとしては機能しないわけですが、優秀なメンバーほど本業がとても忙しいので、もちろん簡単には事は運びません。また明確な報酬形態で契約を交わしているわけでもないため、そこまで行動に強制力はなく、実際のプロジェクト進行でもフレキシブルな対処をする覚悟がコアメンバーに求められます。
それでも、私をはじめとした少数の社員メンバーだけでは考えも及ばないようなアイデアの種が生まれたり、メンバー同士でのネットワーキングから新たなプロジェクトが派生したりする様子を見ていると、間違いなくチャレンジする価値のあるスタイルだと感じます。
では、何をすれば、どんなルールや制度をつくれば、どんなメンバーがいれば、絶えず新しいアイデアが生まれ事業成長にもつながるプロジェクトが進行していくのか、といった、その方法論にはまだたどり着けていませんが、引き続き「毒味」を続けながら、随時ご報告できればと思います。
サイコなイサイでコインを稼ぐ
サインコサイン(SIGNCOSIGN)という社名には、「サイコ(最高・PSYCHO)」な「イサイ(異彩・異才)」と「コイン(信用・お金)」を稼ぐ、という意味も込めています。今までの常識からはちょっとズレるかもしれないけれど、最高に異彩を放つ異才たちと、お金だけではなく、世の中や大切な人たちからの信用という名のコインも一緒に稼いでいけるチームをつくっていきます。人数や事業規模の拡大ともあわせて、乗り越えるべき課題も尽きないと思いますが、楽しみながら自由に「毒味」していきたいと思いますので、本業だけでは物足りなさを感じる方や自ら変化の起点になってみたいと思う方は、ぜひ気軽に遊びに来てください。それでは、また次回、違った視点からの「毒味」をお待ちくださいませ。
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