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マーケターズ・ロード 横山隆治 #04

ADKインタラクティブというチャレンジ。エージェンシーのデジタル化の本質とは【デジタルインテリジェンス 横山隆治】

前回の記事:
ヤフーを取り扱いできないハンディが、逆にDACに力を与えてくれた【デジタルインテリジェンス 横山隆治】

ADKインタラクティブ設立:エージェンシーのデジタル化を目指した日々

 1999年に旭通と第一企画が合併し、アサツー ディ・ケイ(ADK)が発足しました。僕は、1996年にDACに出向していましたから、籍こそ置いていたものの、ADKの仕事はしていませんでした。

 2006年、当時の代表取締役社長だった長沼孝一郎氏から「ADKに戻ってこないか」と声をかけられたのは、DACを立ち上げてから10年後のことでした。

 DACへの出資比率は、もともと博報堂が40%、旭通が20%、デジタルガレージが16%、第一企画が8%、読売広告社が8%、I&S BBDOが8%(編集部注:のちに徳間書店が博報堂の40%のうち5%を取得)。ADKとしては、DACに参画していることに一定の意義を感じながらも、やはり筆頭株主の博報堂以上のことができないというジレンマがあった。DACのリソースは維持しながらも、ADKが独自にできることを探りたいという考えがあったのです。

 僕が出した条件は、「ADK本体とは別にデジタル広告の新会社をつくり、本体と並んでフロントに立つ体制を整えること」でした。



 広告主に相対して、デジタルビジネスを展開できる集団をつくってほしいと要望しましたのです。というのも、僕は「従来のビジネス=テレビCM」を否定できない以上、ADK本体が本当の意味でデジタル化することは難しいと考えていたからです。

 であれば、「別会社が大きくなっていくことで、結果的に本体のデジタル化が果たされる」ほうが、はるかに現実的だと考えていたのです。

 こうして2008年、ADKインタラクティブの設立に至りました。デジタルがわかる人材がフロントに立ち、テレビなどのマスも含めて買い付けてきて、必要に応じて本体に発注する。デジタルが本体のリソースも活用できる、いわゆる“たすき掛け”の状態をつくることで、エージェンシーのデジタル化が進んでいくと期待したのです。

 しかし、結果的にこの構想は、上手く運ばなかった。当時、ADKインタラクティブはネット広告のバイイング会社でもあって、ADK本体の営業からすると、マージンをスプリットされるのが気にくわない。ADKインタラクティブの販管費は、ADKの外に出ていて、かつその額はマージンスプリット分より多いので、経営視点に立てば全く問題ないのだが、現場の営業にはそれが分からない。メディアバイイングはDACに完全に任せ、営業会社としてだけで再スタートした方がよかったかもしれません。

 2011年にADKインタラクティブは解散。また、その後、ADKは保有していたDACの全株式を売却してしまいました。

 あとで述べようと思いますが、デジタルの目利きとしてのDACを手放してしまったことが、現在のADKの苦境を決定づけたと思っています。

 エージェンシーのデジタル化とは、従来の広告ビジネスにインターネット広告メディアを取り扱うビジネスをプラスすることだけではありません。そんな時代は、とうに終わりました。

 本業のクリエイティブや戦略プランニング、マーケティング、マスメディアプランニング、SPプランニングといった、これまで経験と勘でやってきたエージェンシービジネスの“本丸”をいかにデジタル化するかが重要になってきています。

 つまり、デジタルとは「アウトプットがデジタルなモノのこと」ではない。「プロセスがデジタルであること」こそ、デジタル化の本質です。

 従来型のエージェンシービジネスのプロセスを、デジタルテクノロジーやデジタルデータを活用して変革すること。「リアルタイム」「高サイクル」「データドリブン」というデジタル発想でアナログを実行すること。これこそがエージェンシーの真のデジタル化であると考え、現在に至るまで、その実現に寄与するサービスの開発・提供に取り組んできました。
 
横山隆治 Ryuji Yokoyama
デジタルインテリジェンス 代表取締役
1982年、青山学院大学文学部英米文学科卒。同年、旭通信社入社。1996年、インターネット広告のメディアレップ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムを起案設立。同社代表取締役副社長に就任。2001年、同社を上場。インターネットの黎明期からネット広告の普及、理論化、体系化に取り組む。2008年、ADKインタラクティブを設立。同社代表取締役社長に就任。2010年9月、デジタルコンサルティングパートナーズを主宰。企業のマーケティングメディアをPOEに再整理するトリプルメディアの考え方を日本に紹介。2011年7月から現職。主な著書に『CMを科学する』(宣伝会議、2016年)、『新世代デジタルマーケティング』(インプレス、2015年)など。

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