マーケターズ・ロード 横山隆治 #04
ADKインタラクティブというチャレンジ。エージェンシーのデジタル化の本質とは【デジタルインテリジェンス 横山隆治】
現在の「ADK」に対して思うこと
旭通時代は、電通・博報堂に真正面から勝負を挑んでも敵わないと認識した上で、「アニメ」や「セールスプロモーション」といった強みを営業主導でつくっていく文化があり、それが一定の成功を収めていました。玩具メーカーなどがアニメ番組の放映枠に広告出稿し、その代わりに商品化権を得て、キャラクター商品を販売をするというモデルを確立し、長く「アニメの旭通」と呼ばれました。スポーツ分野でも、例えば「マラソン」に特化して、独自の運営ノウハウを持っていました。規模で大手に劣る分、既存の枠組みにとらわれないさまざまなチャレンジができた。いま振り返ってみても、僕は本当に良い時代を旭通で過ごしたのだと思います。
しかし第一企画を吸収合併して、企業規模で業界第3位になったことで、ADKは自分を見失ったと言わざるを得ません。かつて「電・博・ADK」という言葉がありましたが(僕は、これもそもそも“ADK用語”であったと認識しているのですが)、電通・博報堂と同じステージに上がったと勘違いしたのです。
総合力では、到底及ばないにも関わらず、同じ土俵で闘いを挑むようになってしまった。競合プレゼンの勝率が1勝5敗では、利益が上がるわけもありません。
3番手には3番手の闘い方があったはず。DACとの連携もそうですが、せっかくのWPPとの提携関係から、デジタルマーケティングを海外から逆輸入するモデルもあったと思います。さまざまな背景事情の中で、それも叶わなかったことが残念です。見識をもったリーダー不在が原因でしょう。
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