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マーケターズ・ロード 横山隆治 #05

デジタルインテリジェンス創業に思う、エージェンシーが生き残っていくための要諦【横山隆治】

前回の記事:
ADKインタラクティブというチャレンジ。エージェンシーのデジタル化の本質とは【デジタルインテリジェンス 横山隆治】

デジタルマーケティング成功に不可欠な3つの要素

 ADKインタラクティブをつくった翌2009年には、デジタルインテリジェンス(以下、DI)を立ち上げました。DIは、デジタルマーケティングを「マス・リアル・ネットのすべて領域に打ち手をもつマーケティング思考」と定義するコンサルティング会社です。

 前回、「アウトプットがデジタル」であることではなく、「プロセスがデジタル」であることこそが、デジタル化の本質であるとお話ししました。

 例えば、アウトプットはテレビCMでも、制作のプロセスにデジタル発想を持ち込むことで、これまでにないテレビCMを生み出したり、これまでにない成果を挙げたりすることが可能になるのです。



 DIが2015年にリリースした「CMARC(シーマーク)」※2は、テレビCMというアナログ施策にデジタル発想を持ち込むことを、まさに具体的なサービスの形にしたものです。マーケティングにおいてデジタルの活用がもはや不可欠となり、業界内でテレビ×デジタルのアロケーションの重要性が叫ばれる中、DIはそれにいち早く取り組んできました。
 
※2 CMARC
テレビCM視聴データをほぼリアルタイムデータとして取り込み、アクチュアルなターゲット到達状況を、リーチ(到達人数)とターゲットが見たCMの表示回数(ターゲットインプレッション数)とに分解して把握。ターゲットリーチをデジタル広告で補完すべきかを即時に判断し、ターゲットに広告を配信するシステム。

 マス広告の制作にデジタル発想を持ち込むと、従来のように「まずはテレビCMをつくって、デジタル用にリバイスしていく」というつくり方ではなく、「デジタルを先につくってターゲットの反応を見た上で、最適なテレビCMを制作する」というつくり方が可能になる。

 これこそが、これからデジタルのCMクリエイティブのつくり方ではないかと考えています。また、メッセージ開発とターゲティングが同時に行われるようにもなっていくでしょう。エージェンシーのスキル・知見として、「クリエイティブ」と「メディアプランニング」は、これまで完全に分断していましたが、メッセージ開発とデジタルターゲティングの両者を融合させていくことが、効果的なマーケティングの実現のために必要となります。

 それを最初に実践できるのは、果たしてどのエージェンシーなのか――僕は、マスやSPのプランニング経験がある、トラディショナルなエージェンシーのストラテジックプランナーが、「このデータはこんなふうに活用できる」という知見を蓄積しながら、新しいスキルとして身に付けていくのか、はたまた、ネット専業系がデジタルターゲティング技術から、ターゲットセグメントとメッセージ開発のスキルを獲得するのか、見ものです。

 そのためには、スキルを身に付けるための場づくりが肝要。例えば米ニューヨーク・タイムズでは、データサイエンティストと記者がセットで動く体制をとっていて、コンテンツを届けるべきターゲットと、彼らに最も刺さるメッセージを同時に開発しているそう。そうした場や仕組みづくりに力を注げるマーケター、エージェンシー、メディアが、真のデジタル化を実現していけると言えるでしょう。
 
横山隆治 Ryuji Yokoyama
デジタルインテリジェンス 代表取締役
1982年、青山学院大学文学部英米文学科卒。同年、旭通信社入社。1996年、インターネット広告のメディアレップ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムを起案設立。同社代表取締役副社長に就任。2001年、同社を上場。インターネットの黎明期からネット広告の普及、理論化、体系化に取り組む。2008年、ADKインタラクティブを設立。同社代表取締役社長に就任。2010年9月、デジタルコンサルティングパートナーズを主宰。企業のマーケティングメディアをPOEに再整理するトリプルメディアの考え方を日本に紹介。2011年7月から現職。主な著書に『CMを科学する』(宣伝会議、2016年)、『新世代デジタルマーケティング』(インプレス、2015年)など。

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