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ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #14

日の目を見る、Jリーグのアジア戦略「サッカーに投資すれば、日本企業の進出もうまくいく」【Jリーグマーケティング山下修作】

前回の記事:
Googleやマッキンゼーで学んだ、事業拡大に必要な考え方【ピンタレスト・ジャパン 定国直樹 聞き手:ニトリ田岡敬】
 ニトリホールディングス 上席執行役員 田岡敬氏が第一線で活躍するビジネスパーソンから、その人がキャリアを切り開いてきた背景やイノベーションを生み出してきた思考法を探っていく連載。

 第8回は、Jリーグマーケティングの専務執行役員としてアジア戦略を担う山下修作氏が登場。東南アジア各国からスター選手が来日し、インバウンドにも貢献しはじめているJリーグ。アジア戦略が実現するまでの経緯や、戦略を拡大していったエピソード、成功に導いた思考法について聞いた。

アジア戦略におけるJリーグの強みはどこ?

田岡 Jリーグのアジア戦略の発案者は、山下さんだと聞いています。どのような経緯でスタートしたのでしょうか。

山下 私は2005年からJリーグに関わっているのですが、2009年にリーマンショックの影響で各クラブの経営が苦しくなる時期がありました。人口減少や高齢化も進む中で、当時のJリーグのビジネスモデルだけでは、この先やっていけないのではないかと危機感を持ったんです。そこで来場者収入、スポンサー収入に続く、第3の柱として海外に目を向けました。
山下 修作 氏
Jリーグマーケティング
専務執行役員
Jリーグのマーケティング会社であるJリーグマーケティングにて、パートナー事業、イベント事業、海外事業を管轄。スポーツの可能性を最大限に発揮することを常に考え、競技の枠を超えた取り組みをしていくと考えている。

田岡 社内にアジア展開を提案されたときの反応は、どうでしたか。

山下 当時の私は、Jリーグから外部委託を受けている身で、しかも業務とは違う領域でしたから、最初は「何だ、それ?」という雰囲気でした。Jリーグが培ってきたノウハウをアジアのサッカーリーグに提供してフィーをもらうという提案でしたが、私の説得力がなかったことが原因です。

 そこで当時、担当していたプロモーション業務にかこつけて出張の機会をつくり、帰りにタイのプロサッカーリーグを視察して写真や動画を撮影して報告書にまとめました。その熱意が認められたのか、最初に提案したときから1年半がかかりましたが、2011年4月に新規事業開発プロジェクトという部署が立ち上がりました。まだ海外もアジアという名称も付いていないのですが、アジアに調査に行けるようになったのです。

田岡 業務委託の立場で、1年半も粘って説得し続けるなんてすごいですね。山下さんが、アジアに注目するきっかけは何ですか。

山下 2009年頃に東南アジアを訪問したとき、リーマンショックなどが存在しなかったかのように成長していたことですね。Jリーグもアジアの成長を取り込むべきだと感じました。また、学生の頃、バックパッカーとしてアジア各国に滞在していたため、親近感を持っていたという理由もあると思います。

田岡 Jリーグのノウハウを提供するという発想は、どこから生まれたのですか。

山下 アジア展開の武器となる日本の強みについて考えたとき、最初は何も思い浮かばなかったんです(笑)。ヨーロッパの方が歴史もあり、観客数やスター選手も多い。それに対して日本は歴史が浅く、ようやくワールドカップの常連国になれたところです。

 しかし、そのとき気づいたのは、裏を返せば日本は1960~70年代、タイやマレーシアなどアジア各国より弱かったにも関わらず、Jリーグ誕生をきっかけに急激に成長したということです。世界でも短期間でこれだけの成長曲線を描いた国はありません。アジアという括りでJリーグを見ると、そのノウハウを提供できるのではないかと気づいたとき、弱みが強みに変わり、視界がパッと開けた感覚がありましたね。

田岡 その発想の転換が、すばらしいですね。物事を多面的に見るためのフレームワークをお持ちなのですか。
田岡 敬 氏
ニトリホールディングス
上席執行役員
リクルート、Pokemon USA, Inc. SVP、マッキンゼー、ナチュラルローソン 執行役員、IMJ 常務執行役員、JIMOS(化粧品通販会社)代表取締役社長を経て、現職。ニトリのデジタル戦略を担当している。

山下 私がよく使うのは、バリューカーブ(編集部注:商品開発力、資本力、マーケティング力など、自社と競合企業のビジネス上で重要となる項目を並べてグラフ化したもの)ですね。横軸に観客数やプレー水準、経営ノウハウなどの項目を入れて、縦軸にそのレベルを描いて、世界中のサッカーリーグの中のJリーグの立ち位置を分析しました。
 
バリューカーブ
 基本的には、ヨーロッパの国々の方が各項目のスコアは高いのですが、そもそも強豪国である欧州には、弱い国を短期間でワールドカップ常連国に成長させたリーグの経営や育成ノウハウはありません。アジア各国にとってそこに価値があるのではないかと思ったのです。ヨーロッパの国々もアジアに進出していましたが、現地の考えや風習を受け入れず、自分たちの方法を押し付ける傾向が強く、不満を持たれていたようです。
 

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