ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #15

Jリーグ アジア戦略 仕掛け人の仕事術「新しい出会いは毎月100人以上、個人でメルマガも発行」【Jリーグマーケティング 山下修作】

現地で肌感覚を確かめることが、次のアイデアを生む

田岡 Jリーグのアジア戦略を推進するに当たって、山下さんが活用したバリューカーブというフレームワークや、リーダー企業はマーケットを拡大することが重要、という戦略はどのように学ばれたのですか(前編)。

山下 読書やマーケティングのセミナーや勉強会に参加して話を聞くことが好きなので、そこから学んだのかもしれません。ただ、それだけではなく、考えたことを現地に行って肌感覚で確かめることで、次のアイデアが生まれているように思います。

田岡 フレームワークなどを使って考えることと、現場で感じることと、その行ったり来たりの中でアイディアを昇華させていくのがお得意なんですね。それにしてもフットワーク軽いですね(笑)。



山下 フットワークの軽さしか、取り柄がないんですよ(笑)。ほかに意識しているのは、自分が感じたことを“むさ苦しい”と思われても、一生懸命に伝えるということです。

田岡 お話を伺っていると、山下さんは誰に対してもフラットで壁がない印象を受けます。それに、色々な角度からものを見て、普通の人よりも気付きが多いように感じます。それは、なぜできるのでしょうか。

山下 原体験として、23歳のときに10万人の1人いる先天的な要因で両目が網膜剥離になり手術をしたことがあるかもしれません。あるとき、突然見えなくなって、視界が真っ黒になりました。今まで「目が見える」ということは当たり前でしたが、その当たり前が素晴らしいことに気づきましたし、それまで親に感謝の気持ちを伝えたこともありませんでした。その経験を通して、当たり前を疑うことや、人への感謝の気持ちが生まれたように思います。

田岡 なるほど。そういう気持ちを持たれているからこそ、アジア各国とのネットワークを構築して紹介したりすることがうまくいくのかもしれませんね。

山下 あとは、バックパッカーとして様々な国に行った経験から、国や民族に関係なく「人間は、みんな一緒」と感じていることもあると思います。



田岡 それも受け入れてもらいやすい要因の一つなのでしょう。なぜバックパッカーに。

山下 高校のときに、「インドは楽しいから、大学に入ったら行った方がいい」と言い続けていた先生がいたんですよ。それで、サッカー部の同級生と「大学になったら、インドに行くしかないな」となり、実際に行って見たら本当に楽しくて、そこからは休みが始まった翌日から、明ける前日まで毎年行くといった生活をしていました。

田岡 もともと好奇心は、強い方ですか。

山下 そうですね。とりあえず迷ったら行動するようにしています。それに、人に会うのも好きなので、月に100人以上、新しい人と名刺交換することを目標にしています。

田岡 それは、今も続いているのですか。

山下 はい。9月は160人くらいでした。名刺交換させていただいた方には月1回、個人的なメールマガジンとして、Jリーグの海外動向をまとめて送らせていただいています。

田岡 それは、すごい!情報を送ることで、マインドシェアも高められますよね。普通、なかなか続けられないことだと思います。
 

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