ドラクエ的マーケターキャリア調合術 ― スキルセット×マインドセット、それとちょっぴりの「運」 #04
キャリアアップにあたって、絶対に間違ってはいけない「人脈」の活用法
「外部ネットワーク」には2種類ある
前回はキャリアの棚卸しを通じて職務経歴書に記入する項目を確認し、さらに将来のキャリア計画シートの作成を行いました。旅の中で、日々知識の研鑽を積み、必要な情報取得も心がけ、目標とするキャリアプランへ向けて段々と「技」や「レベル」も向上していく。それが習慣になってくれば、その習慣自体がまたひとつの「スキル」ともなります。
今回は、そんな自己で積み重ねてコントロールできる内部資源ではなく、スキルセットとしても非常に重要な資源となる「外部ネットワーク」に目を向けてみましょう。
ここで論ずるキャリアプランとしての「外部ネットワーク」には、「人との出会い(人脈やリレーション)」と「自分自身の市場でのプレゼンス(存在価値)」の2つの意味があります。
人脈を「活用」する3つの方向性
まずは、「人との出会い(人脈やリレーション)」です。人とのつながりこそ、まさに財産。
会社や仕事で知り合えた仲間との経験は本当に得がたい。
——キャリアを通じて知己を得た人たちとのつながりは、誰もが大事に考えているものです。苦しい時の支えになってくれる相手として、感謝する存在でもあると思います。
このリレーションについても、自分のスキルを拡充してくれるひとつの「資源」として積極的に捉えてみましょう。あくまで私の経験上での考え方ですが、キャリアを進めていく上で自分を取り巻く人々の「活用」には次の3つが考えられます。前提として、自分もその相手から「活用される」よう心がけること、つまり双方向でベネフィットを与え合う互恵関係にあることを忘れないでください。
1. ヴァーチャルな外部資源としての知識・知見や経験
仕事をする上で出会ったプロフェッショナルたちの中には、自分自身が持たない、または知りえない知識や経験を持つ方々がいると思います。専門分野についての話、業務やオペレーション、マーケティングやビジネスのトレンドについて、最近どんなことに興味を持っているのか、何に注目しているのか――彼らの知見はいずれも自分では興味を持っていなかった、気づかなかった事柄について多くのことを教えてくれるでしょう。また、彼ら自身がプロジェクトや業務で経験したことについて積極的に学び、仮想的な形ではありますが自分自身の経験則に加えることも可能です。2. 提案や企画を打ち返す鍛錬の場としての師
お世話になる友人や知人、先輩に「自分の鍛錬の相手になってもらう」というのは大変おこがましいことではあります。しかし、ともすると狭くなりがちな自分の視野を広げる、自分では気づかない視点からの検討を行うという意味で、特に異業種の、規模やビジネスも自社とは違う立場の方々からのフィードバックは、余計なバイアスや先入観が含まれないぶん貴重です。機密事項はもちろん明かせませんが、プロジェクトや提案を概念化・抽象化した上で企画を提示し、問題点や要改善点について意見をもらいましょう。業務や自社内での悩みを相談する際には、内部事情を知らない相手に対して「構造化」して説明する必要があります。これは、物事をロジカルに考えて相手に伝えるよいトレーニングになります。
3. リファラル採用としての転職情報リソース
さらに直接的なメリットとしては「転職先候補の情報や、採用情報を提供してくれる資源」という考え方もあります。中途採用については、昨今特に知人経由での「リファラル採用」の利点が注目されています。人事部が採用を行うのではなく、社員全員が“採用担当”となり信頼のおける相手として知人を積極的に採用することは利にかなっていると言えるでしょう。
また、信頼できると思える相手にだけは自身のキャリアプランや転職について構想を打ち明けることで、他社の採用情報や状況について情報を交換し合うこともできるでしょう。
上記3つの活用において、決して間違えてはいけないのが、人脈やリレーション、人とのつながりから得られるメリットはいずれも「結果」であって「目的」ではないということです。
最初からこれらを得よう・活用しようと考えることは大変な間違いですし、お互いに何の結果も生み出しません。冒頭で明記したように、互助・互恵関係である「旅の仲間」であることを常に頭に入れて信頼関係を築きたいものです。
そうしたプロフェッショナルな方々とのつながりは、どのようにつくっていけばよいのでしょうか。普段は自社内の上司や同僚とのつながりが主で、同業種他社とのつながりが弱いなどの場合、どのように外部に知己を得ていけばよいでしょうか。
私の経験上からの手段とはなりますが、次のような機会は誰にでも活用可能です。
●ソーシャルメディア
自らで構築できる、もっとも効率的なつながりはソーシャルメディアです。マーケティング業界を例にとって言えば、さまざまなメディア(Agenda noteもそのひとつですね)で活躍されている先達の方々のTwitterアカウントなどを確実にフォローし、毎日トピックを追っていきましょう。気になることがあったりした場合は「臆せず」ダイレクトメッセージを送ったり、コメントをつけたりして対話をしていくことが可能です。自身の未経験や未熟な知識などを踏まえた上で、礼儀やマナーをわきまえたコミュニケーションが必要なことはもちろん言うまでもありません。
●セミナーや講習などのオフラインの場
メディアや業界のセミナーなどに参加する場合も、せっかくの機会を逃していませんか?講師や登壇されている方々は、いずれもその業界における豊富な経験を持っています。もし少しでも接触できる機会があるのであれば、積極的に名刺交換などをして、対話をしてみましょう。自ら学ぼうという姿勢で謙虚にお願いする限り、何らかのアドバイスや、課題・悩み解決のヒントにつながる話が聞けるかもしれません。業界の集まりや会合などに参加させていただける機会になれば、それこそとても貴重なつながりになるでしょう。