田中安人の次世代リーダー養成塾 #02

マーケターに求められる「リーダーシップ」とは? 吉野家 CMO 田中安人氏

前回の記事:
組織を勝利に導く、最強リーダーの作り方「田中安人の次世代リーダー養成塾 -入門編」
 時代の変遷とともに、求められるリーダー像は変わります。今、ビジネス領域で注目されているリーダー像は「リーダーシップ3.0」と呼ばれ、生まれ持った才覚で人を惹きつける従来型のリーダー像とは異なり、誰もが学び会得できるものです。

吉野家 CMOの田中安人氏とナノベーションは、今の時代に求められるリーダーシップが学べる「田中安人の次世代リーダー養成塾 -入門編」をスタートします。それを記念し、田中氏に現代のマーケターに求められるリーダーシップとは何か、必要な条件やその学び方などを聞きました。


 

新しい時代のリーダー像「リーダーシップ3.0」


――今回、塾を開校した背景には、現代のビジネス環境に新しいリーダーシップが求められるようになったということがあります。新しいリーダーとは、どのような存在なのでしょうか。     
     
田中安人氏
グリッドCEO/吉野家CMO/日本スポーツ協会 ブランド戦略委員会委員
HR、経営戦略、海外戦略、販売戦略、スポーツマーケティング、アドバタイジング・エージェンシー/パートナーなど幅広い経験から多くの企業のCMO歴任。日本スポーツ協会フェアプレイ委員会選考委員長。帝京大学ラグビー部OB会初代幹事長として大学選手権9連覇の強さの秘密を解き明かした書籍「常勝集団のプリンシプル ~自ら学び成長する人材が育つ心のマネジメント~」を企画・編集。

 新しいリーダー像は、学者の世界では「リーダーシップ3.0」と呼ばれています。「リーダーシップ1.0」は、生まれながらにしてリーダーシップの才覚があって人を惹きつける、言わばナポレオンのような人を指します。大半の人は、いまでも、これがリーダーシップだと思っているのではないでしょうか。

 一方で「リーダーシップ2.0」とは、ビジョンを提示して人を惹きつけることを指します。スティーブ・ジョブズのような人ですね。

 そして「リーダーシップ3.0」と言われているのは、「サーバントリーダーシップ」です。サーバントとは“召使い”という意味で、「俺について来い」ではなく、みんなと伴走するようなリーダーシップだと言われています。さらに最近は、「オーセンティックリーダーシップ」とも言われ始めています。これは、“自分らしいリーダーシップ”という意味です。

 そのうえで、コロナ禍に入ってから重要性が指摘されているのは、「セルフリーダーシップ」です。リモートワークが増えたことで、これまでは雰囲気でできていたマネジメントが通用しなくなり、まずは自分自身をマネジメントできなければ、人は惹きつけられないという事態が生まれています。

――どのような背景があり、「サーバントリーダーシップ」や「セルフリーダーシップ」が求められてきたのでしょうか。

 最も大きな理由は、世代間ギャップです。スポーツで言えば、私たちの時代は「喉が乾いても水を飲むな」という厳しい世界でしたが、今はそれが殺人行為として捉えられますよね。

 もうひとつは、今回の新型コロナのように予期せぬ事態が起きることです。そういう危機のときに本部の指令を待っていたら、現場は死滅してしまいます。そこで必要になるのが「自律型学習組織」です。現場が学習し判断するような、マネジメントが説かれ始めています。経営者ならば、みんなこんな組織をつくりたいと思うでしょう。つまり、誰もがリーダーにならなければいけない時代なんです。
 

リーダーの条件は、情熱と論理性


――「誰もがリーダーにならないといけない時代」とのことですが、リーダーとして持つべき条件はあるのでしょうか。

 はい、リーダーが持つべきは「情熱」と「論理性」の2つだけです。みんな、自分が“ワクワクする”ことならがんばって情熱を持てますよね。その“ワクワクする”ことをまず見つけないといけません。

 それは例えば、オタク的な模型づくりでもいいんです。仮に、それで一番になりたいと思ったら、一番になれるようなチームに入ろうとして、さらにマニアックな模型をつくりたいという深い興味が出てきたら、自分がリーダーにならなければできません。

――“ワクワクすること”を見つけるには、どうしたらいいのでしょうか。

 まずは自分自身を内省化し、自分を見つめることが必要です。自分がワクワクすることやドキドキすること、不安に思うことを書き出してみると、自分がどういうときにどんな感情になるのかが、少しずつ分かってきます。



 実は人間は、周囲にあふれんばかりの情報があるにもかかわらず、興味のあるほんのひと握りの情報しか取得していません。ということは、自分の価値観を知ることで、自分はどんな情報を自然に取りにいっているのかが分かります。それは、自分のオリジナリティ、つまり自分のスタイルを見つけるということにつながるんです。

 自分のスタイルが見つけられなければ、「横型比較思考」という、他人と自分を比べるようになり卑屈になっていきます。しかし、内省化により自分のスタイルが見つかれば、他人の真似をする必要がなくなります。人はそういう人に魅力を感じます。リーダーになるためには、お金で人を連れてくるのではなく、この人なら付いていきたいと思ってくれるフォロワーをつくることが大切ですから。

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