マーケターに求められる「リーダーシップ」とは？ 吉野家 CMO 田中安人氏

 

マーケターにリーダーシップが必要な理由

――お話を伺っていると、「リーダーシップ」と「マネジメント」という言葉を使い分けていると思いますが、どのような違いがあるのでしょうか。

 リーダーシップは船の行き先を決めることで、マネジメントはその船をその行先まで定時でまっすぐに進行させることです。「リーダーシップ3.0」には、この両方が必要です。

 「水を飲むな」が通用した高度成長期時代は、マネジメントができる人をリーダーにしておけば、安定運営ができました。でも今は、それをやるとパワーハラスメントになり、周囲から人がいなくなります。私が過去に企業に対して実施した研修でも、リーダーシップとマネジメントをはき違えていた人が多くいました。



――リーダーシップは、あらゆる組織に必要だと思いますが、特にマーケティング領域に必要な理由をお聞かせください。

 やはり結果を出すためには、自分ひとりでは何もできません。マーケティング自体がいろいろなチームやリソースを活用していかなければならない以上、マーケターには、特にリーダーシップが求められるんです。

 机上で100％の企画をつくったのに結果につながらない企画と、机上では50％しかできていないけれども結果が出る企画があります。その違いは、チームや外部パートナーなどが鼓舞されたかどうかです。つまり、“巻き込み力”なんですよね。それをスキルとして学んでいけば、結果にもつながりやすくなります。

――最後に「田中安人の次世代リーダー養成塾 -入門編」の受講を検討されている方にメッセージをいただけますか。

 今の時代は、自分の内省化のための方法や組織論、すべてを包括した学びが必要です。最初に、ひとりでは何もできないということを理解して、初めて人を動かすことができるようになります。

 もっと言えば、自分の心を動かせない人がマーケットを動かせるはずがないんです。それが「セルフリーダーシップ」です。そういう意味ではマーケティングの世界に限った話ではなく、仕事で悩んでいる人全員に受けてほしいと思っています。

他の連載記事:

田中安人の次世代リーダー養成塾　の記事一覧