Road to ダイレクトアジェンダ2021 #03
ECサイトは最大の顧客接点、コロナ禍で挑戦した実店舗に近いデジタル体験 アスクル 輿水氏、アダストリア 田中氏【ダイレクトアジェンダ事前対談】
2021/05/19
2021年7月1日からベルサール汐留(東京)で開かれる「ダイレクトアジェンダ2021」は、通販・直販事業に携わるトップマーケターが集結し、2泊3日で行う合宿型カンファレンスです。最先端の知識を得る座学だけではなく、ネットワーキングを重要視しており、毎年多くの人とのつながりを生み出し、参加企業のビジネス成長を支援しています。
本企画では、「ダイレクトアジェンダ2021」開催に向けて、注目すべきテーマや参加企業へのメッセージ、初参加でも楽しめる心構えなどを3回にわたってお届けします。第3回目は、ダイレクトアジェンダのカウンシルメンバーであるアスクル取締役執行役員の輿水宏哲氏と、アダストリア執行役員 マーケティング本部長の田中順一氏が登場。
アパレルブランドがECで勝ち残るための挑戦、そして当日聞くことができるオープニングキーノートの先出し情報をお届けします。
本企画では、「ダイレクトアジェンダ2021」開催に向けて、注目すべきテーマや参加企業へのメッセージ、初参加でも楽しめる心構えなどを3回にわたってお届けします。第3回目は、ダイレクトアジェンダのカウンシルメンバーであるアスクル取締役執行役員の輿水宏哲氏と、アダストリア執行役員 マーケティング本部長の田中順一氏が登場。
アパレルブランドがECで勝ち残るための挑戦、そして当日聞くことができるオープニングキーノートの先出し情報をお届けします。
アパレルECの難しさと差別化した工夫
輿水 田中さんの簡単な自己紹介と、今どのようなことをやられているかを教えていただけますか?
田中 私は、アダストリアに務めて今年で10年目になり、3月から執行役員を務めています。主にマーケティング本部を統括し、3つの機能を担当しています。
ひとつ目が広報、2つ目が広告宣伝、3つ目がeコマース事業です。これらすべてを顧客接点と定義し、これからの時代にマッチする企業としてアダストリアのさらなるアップデートを目指しています。
輿水 一般的には、CMO(最高マーケティング責任者)と呼ばれる役割でしょうか。
田中 はい、そう言われる立ち位置です。ただ、異なる点としては、EC事業をメインに10年間従事してきたので、データの扱いを主軸として、あまり派手なプロモーションはせず、しっかりデータと向き合い顧客接点を形成していくアプローチが得意なことです。
輿水 せっかくの機会なので、田中さんにより深い話を聞いていきたいと思います。まず、アパレルECには他の商材とは異なった独特の難しさがあると思います。
例えば、当社がLOHACOで販売している消費財とは異なり、アパレルはSKU(Stock Keeping Unit:在庫管理を行うときの最小の単位)が多く、基本的には再生産をあまりしない業態だと認識しています。他にも、リアル店舗との在庫連動があったり、試着して購入したいニーズがあったり、アパレルならではの特徴が多いですよね。
そのなかでも、田中さんがアパレルECで直面した課題は何だったか、それをどう乗り越えてきたか、エピソードがあれば教えてほしいです。
田中 アパレルE Cの特徴は、大きく3つに分かれます。ひとつ目は顧客の購入方法です。やはり、服を着たイメージをWebサイトから想像して購入するのではなく、実際に試着して納得して買うという人が多くいます。
当社は1300店舗を国内に構えているという圧倒的な数と、1万人ほどの販売スタッフが稼働しています。実はECでの販売が順調な理由は、この実店舗で顧客とスタッフが会話し、納得して商品を購入してもらえるからです。
そこでの体験があるからこそ、ECでも安心して購入できますし、店舗からE Cサイトに誘導する設計ができています。つまりEC単体で運用するよりも、実店舗があるからこそECも一緒に成長できていのです。
2つ目が顧客管理です。ECとリアル店舗とのID連携が重要です。昔は、店舗とECで会員が別で管理されていました。しかし顧客から見れば、実店舗で購入してもECで購入しても同じです。アダストリアは早くから双方のIDを統合し、それをベースに顧客の商品購入傾向を見て、顧客単位で細分化したアプローチを行なっています。
3つ目は、顧客への商品の伝え方にこだわりを持ちたいという考えから、スタジオを自社で構えたことです。
当然、コストはかかるものの、少しずつ内製化を進めて、10年前はスタジオが1ブースしかなかったですが、いまでは17ブースを構えるまでに成長しました。いまは動画の活用が進んでいて、顧客が商品イメージを抱きやすいような紹介の仕方にこだわっています。
これら3つを時代背景に合わせて工夫し、アップデートしているのが我われの近年の取り組みです。