マーケティングアジェンダ2021外伝 #03

ライフクリエイト前川氏、元西友富永氏「ある経営者の人間理解についての考察」から人間理解の本質に迫る【マーケティングアジェンダ2021レポート外伝_第3回】

前回の記事:
アントラーズ小泉氏、オルビス小林氏によるキーノート「テクノロジーの歴史から人の求めるモノはどう変化を遂げたのか?」【マーケティングアジェンダ2021レポート外伝_第2回】
 キラメックスでマーケティングを担当している福田保範です。2021年10月27日から3泊4日で行われたマーケティングカンファレンス「マーケティングアジェンダ2021」に参加しました。キーノートとラウンドテーブルディスカッションがとても参考になる内容でしたので、いちマーケターとしての見解を入れつつ全4回に渡りレポートします。

第3回目となる今回はキーノート#1「ある経営者の人間理解についての考察」と、最終日のラップアップを合わせたレポートです。キーノートは、Preferred Networks 執行役員CMOの富永朋信氏、LIFE CREATE 代表取締役の前川彩香氏が登壇しました。LIFE CREATEは北海道でホットヨガスタジオを立ち上げ、約10年で全国に75店舗まで急拡大している注目企業です。

実は最終日のラップアップで、まず足立光氏が印象に残ったと話したのがこのセッションでした。足立氏は、「やはり、自分を理解することから始めるのが大事」と言いました。自分を理解し、その後社員やお客さまの順番に理解を進めていくそうです。つまり、このセッションは人間理解における「自分」の理解について学ぶ、最も重要で最も難しいセッションだったと言えます。少し難易度の高いキーノートだったので、私はキーノート#3(足立氏によるキーノート「イノベーションメソッドの根本に迫る」)キーノート#2(アントラーズ小泉氏、オルビス小林氏によるキーノート「テクノロジーの歴史から人の求めるモノはどう変化を遂げたのか?」)、キーノート#1(本レポート)の順に見ていただくと理解しやすいです。ぜひ第一弾第二弾のレポートを読んだ後にこちらをご覧ください。
 

マーケティングの背景を誤解しないこと

 まずマーケティングの前提について、富永氏の強いメッセージからキーノートは始まりました。「マーケティングには、経済学、社会学、心理学、哲学、数学、消費者行動論、社会心理学、行動経済学など本質的には色々な学問の表面的な部分が必要で、4PとかSTPとかだけがマーケティングではない。つまり、マーケティングの核は人間理解。人間は意図と行動の塊。入力と出力を理解すること」だと。
 

強固なブランド形成のキーは、共通性と反復性

 富永氏はスターバックスコーヒーを例に挙げ、「ブランド生成の理想的な流れとして、根本に店員さんのサービスマインドがあり、それが意図的に言動として表れ、その結果として消費者の中に蓄積されて印象(ブランディング)になる」と続けます。



「当然だが店員さんは生まれつきサービスマインドは持っていない。企業からの促しとルーティンによって達成されている」と富永氏は言います。例えば、ある定員に対して店長の促しは次のような流れです。
 
店長「あなたの好きなメニューは何ですか?」

店員「抹茶ラテにハニーとホイップクリームを加えたものです」

店長「では、それを今日お客さまに提案してみてはどうでしょう?」

 店員が実際に行い、お客さまが喜んでくれる。この成功体験の積み上げによって自信がつき、スタバのサービスマインドが自然に醸成される、ということです。

 同様に、ライフクリエイトはサービスマインドの醸成・それによるブランディングが徹底されており、
 
  • 内定承諾:85%
  • 出世を望む:84%
  • 入社後の転勤許諾:100%

 という圧倒的な数値を叩き出していました。それを生み出す秘訣について前川氏からお話がありました。

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