マーケティングアジェンダ東京2021外伝 #03

青山商事とReproのOMO戦略から学ぶ「社内外一体型マーケティング推進」 が必要な理由

前回の記事:
駒澤大学 青木教授、吉野家 伊東氏SDGsは「買う理由」ではなく、「ないと買わない理由」になっている
 キラメックスでマーケティングを担当している福田保範です。2021年12月9日と10日に行われたマーケティングカンファレンス「マーケティングアジェンダ東京2021」に参加しました。今回もキーノートとセッションがとても参考になる内容でしたので、いちマーケターとしての見解を入れつつ全4回に渡りレポートします。

第3回目は、「OMO戦略による顧客接点の拡大 大きな戦略の中で現場が成果を上げるためには」のプレミアムプレゼンテーションで、Repro 取締役COOの齋藤修氏と青山商事 TSC事業本部 TSC営業部 副部長の関昌稔氏が登壇しました。

このセッションでは、「ツールやデータがあったとしても、DX推進には人が大事」「関連する部門を置いていかずに寄り添いながら巻き込む」という2つのキーワードがありました。

青山商事さんは「共創コミュニティ シン・シゴト服ラボ」を実施するなど、さまざまな施策を打ち出しており【人・組織・ツール・ベンダーのバランス】が最適化され始めていて、一種の理想系かなと思いましたので、ぜひご一読いただければと思います(これまでのレポートはこちらからご覧ください)。
 

青山で課題の店舗とECの「併用顧客開拓」

 まずは、青山商事の現状について簡単に整理します。関氏は青山商事の中でも「THE SUIT COMPANY」の担当で、 2年前から店舗の在庫の最適化などを推進しています。



 その中で、 オンラインとリアル店舗を併用する顧客の方が売上・接点の回数が倍以上に増加することがわかり、2021年下期は併用顧客の増加に焦点を当てて施策を展開していました。その中心に設定したのがDIGI-lab試着室です。

 アプリとWebを中心としたOMO戦略の中で、コロナの影響もあり、店舗利用とEC利用の併用が進まない点が課題とされています。それにしても、以下の図は青山商事の会員数ですが、アプリの利用者がすさまじい数ですね。

 

OMO戦略を推進するDIGI-lab試着室。オンラインのいいところと店舗のいいところどり

 OMO推進の柱・DIGI-lab試着室は、オンラインと実店舗が融合した施設です。
 

■DIGI-lab試着室の流れ
①    店舗でスーツをコーディネート
②    店内のサイネージ・iPadで購入
③    自宅で受け取り

上記のように、店舗の在庫も人員も最小限ですむように設計されており、青山で展開している各種ブランド横断のラインアップ展示や、店舗敷地や店員コスト削減を可能としています。


 ユーザー側としても商品をいろいろ選べて、持ち帰るのが面倒なスーツを持たなくていいので、メリットがとても多いです。店舗と消費者の双方にメリットのある素晴らしい仕組みですよね。オンラインとリアル店舗の併用で売上が上がるのもよくわかります。

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