マーケティングの地位向上は本質ではない 『THE MODEL』著者 福田康隆が語るB2B企業に本当に必要な論点

 

マーケティングの細分化が、社会全体の成長へ

 
 昨年、初開催のB2Bアジェンダにカウンシルメンバーとして参加しました。実際に会場でB2Bマーケティングに関わる皆さまと会話をする中で、「日本のB2B企業では、そもそもマーケティングの機能がない会社も多く、伝統的に営業部門が力を持っている。これからはマーケティングが経営の中核として戦略に関わっていくべきだ」という声を聞きました。

 これは間違っているとは思いませんが、いつの間にか大事な論点が部門間の上下関係やポジショニングにすり替わっていると感じました。マーケティングを「経営ゴト化」にすることと、マーケティング部門の地位向上は全く別の話です。

 私は経営における意思決定は、リソース配分そのものだと考えています。私が『THE MODEL』を出版したときは、マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスという分業体制に注目する読者が多かったのですが、本当に重要なのは自社のビジネスにおいてどのような役割分担を敷き、どこにどれだけのリソースを割くのかを考えることにあります。

 そしてリソース配分の意思決定をする人は数字、つまり売上と利益に最終責任を負っている人であるべきです。B2Cではマーケティングが力を持っていますが、B2Bでは営業のサポート役に回っているとよく言われます。これはB2Cではブランドマネージャーが、B2Bでは営業がその責任を担っている差だと考えます。そのため、マーケティング部門の地位向上という話はナンセンスであり、部門名が何であっても、数字に最終責任を負っているかどうかが問題です。

 いざリソース配分をするときには「マーケティング」という大きな括りではなく、「Demand Generation・Field Marketing・Digital Marketing・Marketing Ops・PR/Communications」などと機能を細分化し、これらをパズルのピースのようにつなげ、全体の絵を描くことが求められます。これらは、海外ではどの会社でも通じるジョブディスクリプションとして認知され、その役割とタイトルを聞けば、だいたいその人がどのようなスキルを持っているかを判断できます。これが健全な人材の流動化に貢献し、ある会社で成功した人が次の会社にその経験をもたらすという循環が生まれ、社会全体が成長しています。

 私たちが議論すべきは、B2B企業においてどのようなパズルのピース（部門と役割）が必要なのかです。各ピースとなる上で、必要となるスキルとそれを身につけるための教育体制をどうするべきか。また、それらを経験した人材の適切な流動化をどのように実現していくかではないでしょうか。

 今回のB2Bアジェンダでは、さまざまなバックグラウンドの人が参加することにより、より深い議論ができる場になることを願っています。


 

B2Bアジェンダ2022 開催概要

 

名称

B2B アジェンダ 2022

日時

2022年10月12日(水)-13日(木) <1泊2日>

会場

THE HAMANAKO（ザ 浜名湖）
〒431-0101　静岡県浜松市西区雄踏町山崎4396-1

参加者

BtoB事業を行い、マーケティング起点での企業変革に取り組む経営者、役員。
B2Bマーケティングに従事するマーケター、営業企画、営業推進部門の管理職の方々など

参加費

B2B事業者枠：無料（審査有）
プレミアムB2B事業者枠：150,000円（税込165,000円）
パートナー枠：290,000円（税込 319,000円）

ハッシュタグ

#B2B22

主催

株式会社ナノベーション

特別協力

アジェンダノート（Agenda note）

B2Bアジェンダ　公式サイトは、こちら