ネプラス・ユー大阪外伝 #04

日本コカ・コーラCMO和佐氏が語る、8つの信念とは【ネプラス・ユー大阪2022レポート外伝 第4回】

 

「マーケティングでの信念」


 マーケティングの信念は非常にシンプルなものがひとつだけでした。

(9)Wining in ZERO/FIRST/SECOND moments of TRUTH(真実の瞬間)

 MOTはMoment of Truthの略で、は直訳すると「真実の瞬間」です。ZMOTのZは「ZERO」のことで、FIRST MOMENTが商品を手に取るときだとすると、消費者の多くは事前にある程度購入する製品を決めていることが多く、商品と消費者との交流は商品を手に取る前から発生しています。

 ZMOTについては、いろいろとまとめの記事がありますが、DINOS CORPORATION(前ディノス・セシール)CECOの石川森生氏の記事が具体例を交えてわかりやすいので、ぜひ参考にしてください。

 和佐氏流にこれをわかりやすく言い換えると、

・ZERO Moment   :おぼろげながら頭に思い浮かべる瞬間
・FIRST Moment  :ストップさせる(足を止めさせる)パワー、ホールドする(手に取らせる)パワー、クローズする(購入させる)パワーがあるか。
・SECOND Moment  :消費体験がブランド体験とあっているか。


 現在では、当たり前になってきたマーケティングの考えですが、やはり和佐氏がすごいのは「徹底している」ところです。和佐氏は「ZMOT、FMOT、SMOTが達成されているか、細部にまで気を配ります。ここには妥協はありません」と語り、とにかく基本を徹底するという信念が裏側には存在していることがよくわかります。さらに、マーケティングでいう消費者視点の徹底も明確です。
 

「気持ち・心がけの信念」


 そして最後に、気持ち・心がけの信念について語られました。

(10)悲観は気分、楽観は意志

 これは、フランスの哲学者・アランの言葉です。

 和佐氏は「起こっていることは同じでも、受け取り方は結局気分であり、自分次第です。そのため、意志を持って楽観することが大事」と楽観することの大切さを語ります。

 悲観的にとらえるのは簡単です。しかし、楽観視するのには、楽観できるだけの整理を可能とする意思が必要になります。この言葉もとても印象的で、私も実践しようと思います。
 

「どこまでいっても信念をもってやり切れるか」


 いかがだったでしょうか。綾鷹の事例から、10個の信念を紹介しました。非常にわかりやすく、心に響いたのではないでしょうか。

 さて、冒頭の徳力氏の言葉に戻ります。
   
note株式会社 noteプロデューサー ブロガー
徳力 基彦氏

「和佐氏の語る信念は、どこかの本などに書いてあることかもしれません。しかし大事なことは、綾鷹や檸檬堂で実践されたマーケティングのように、『信念』を持ち、やりきることの大切さと徹底してやりきるというエッセンスです。信じて、努力すればマーケティングは新しい未来をつくることができる。これがマーケティングの仕事の面白さだと思います」     

 結局「どこまでいっても信念をもってやり切れるか」に、尽きます。

 徹底した消費者理解という基本に忠実にいながら、ダイナミックなクリエイティブと、人と人の繋がりを大切にする。「変わらないもの」と「変えなくてはならないもの」が脈々とながれていることに気づいたのではないでしょうか。

 和佐氏は、最後にこう話しました。「みなさんも、自分の中でどんな信念が芽生え始めているのかを書き出してみてください。それが心の拠り所になります。私もそこに立ち返るようにして、救われてきたから」と最後に話しました。

 もう一度聞きます。あなたの信念は、なんですか?
    
登壇終了後の和佐氏と徳力氏
他の連載記事:
ネプラス・ユー大阪外伝 の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録