B2Bアジェンダ2022外伝 #02

売上を10倍の200億円に。ペイント業界のリーディングカンパニー武蔵塗料の企業変革の真髄【B2Bアジェンダ2022レポート外伝 第2回】

 

組織の体制やツールの構築も併せて変革


 他の例として、福井社長は外国人のマネージャーの登用にも挑戦しました。自社を現地でも誇れる存在にするためには、現地の人間が現地のために頑張らなければ、結果として受け入れられないと考えたからです。この施策は、現地社員のモチベーションアップに繋がっただけではなく、現地の武蔵塗料の認知拡大や売上向上にも寄与しました。

 また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により言語の壁や教育の壁を突破しました。具体的には、社内のシステムをMicrosoft のTeamsなどに統一することでコミュニケーションの活性化を図りました。実際にITを活用することで、若い社員が経営陣やマネージメント層と直接意見を交わすことが可能になり、海外からの声も届きやすくなり、結果として会社全体の若返りと国際化が進みました。「ITは国も、壁も超える」と、福井社長は力強く語ります。この話からは、組織の概念や思想をただ変えるだけではなく、仕組みも整えることが必要だとわかります。
 

B2Bマーケティングの役割は、企業変革のすべて


 聞き手の山口氏から「企業変革においてマーケティングが果たす役割とは何ですか?」という質問がありました。
   
パナソニック コネクト株式会社 執行役員 常務 CMO
山口 有希子 氏

 福井社長は「むしろ企業変革において『マーケティング』が、すべてだと思っています。社内外を問わず、社員や取引先の人が『会社が伝えたいこと』を言える状態を目指す必要があります。そして、何よりも社員全員から武蔵塗料ブランドが漂ってこないと、ブランディングは成り立ちません。マーケティング部門のやるべきことは多いですね」と語ります。

 BtoB企業こそ、社員全員が自社のビジョンや価値を知っていることが重要です。これは、もちろんBtoC企業でも同様に重要です。2022年6月に開催されたダイレクトアジェンダのキーノートで、キューサイ 代表取締役社長の佐伯澄氏が同じことを語っていました。自分の会社の製品やサービスを誇れない、また価値をしっかりと理解していない社員は、まだまだ多いのではないでしょうか。

 B2Bアジェンダ2日目の朝に前日の振り返りと残りのプログラムへの意気込みを話す企画「Wake up with」に登壇したALPHABOAT 社長の西谷大蔵氏が、「社員の一人ひとりが『会社のフィロソフィーを言えるか』、『それを他の人に自慢できるか』この2つを確認するだけで、会社の理念や想い、愛社精神の浸透具合がわかります。ぜひ、皆さんの会社でもチェックしてみてください」と話されていましたが、ぜひこのチェックをみなさんも実施してみてください。



 最後に、福井社長は「よりマーケティングを理解したいです。会社にもマーケティング部門がないので、企業変革をしていきたいんです。また『日本ってすごいんだよ!』と、日本の技術やテクノロジーをもっと世界に伝えていきたいですね。今の日本に一番必要なのは絶対にB2Bマーケティングだと思います」という熱いコメントで終了したセッションでした。

 それでは、第3回もお楽しみに。

・HOW中心のBtoBマーケティングから脱却するために必要な視座とは
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