ライジングアジェンダ2022外伝 #02

知と汗と涙の近大流コミュニケーション戦略とは、近畿大学 世耕氏が語る【ライジングアジェンダ2022レポート外伝 第2回 】

前回の記事:
ファミマ CMO足立光が語る「マーケターのキャリア形成」に必要な6つの視点【ライジングアジェンダ2022レポート外伝 第1回】
  オンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」を運営するキラメックスでマーケティングを担当している福田保範です。2022年12月7日に行われた、35歳以下の次世代を担うマーケターを集めたカンファレンス「ライジングアジェンダ2022」のレポートの第2弾になります。

「ライジンダアジェンダ2022」では、先輩マーケターの経験と知見から学びを得る「This is my Story」というセッションが開催されました。今回のレポートでは、経験豊富な経営者・リーダーのストーリーを中心に、私の学びも合わせてお届けします。

 私は今38歳でさまざまな人の話を聞いてきましたが、こういった違う業界の方の経験を聞く機会は非常に貴重です。それぞれが信念を持って仕事に取り組んでおり、大変参考になると共に刺激を受けました。読者の皆さまも、共感する部分は積極的に取り入れて、レベルアップの材料にしてもらえればと思っています。

 第2弾は、近畿大学にて広報を統括している世耕 石弘氏のストーリーです。近畿大学は世耕氏が就任後、世の中をあっと驚かせるプロモーションを連発。大学一丸となり取り組み9年連続で一般入試志願者数で日本一を達成しています。世耕氏のストーリーは、非常にユニークながらも、全業種で参考になる内容だと思います。
 

(1) 自分が好きなことと、消費者が興味を持つことは違う

 

「元々、近畿日本鉄道で広報をしていた。近畿大学に転職したが、教育に興味があったわけでもなく、詳しかったわけでもない。前職でも、鉄道マニアは社員にしなかった。それは、お客さんを見ないといけないのに、鉄道を見てしまうから。同様に、近鉄バファローズも野球ファンを社員にとらなかった。なぜなら、社員は、野球の良さの追求だけではなく、チケット収入も見ないといけないから。日本シリーズで4 連勝して優勝したら一ファンとしては最高なのかもしれないが、マーケターとしたらホームでの試合が減ってしまい売上が下がる。3勝3敗で最終戦までいくことを祈るのがマーケターだ。

 自分が好きなことと、消費者が興味を持つことは違う。だから、大学で広報をする際、『教育』を語らず、どうしたら消費者に刺さり、認知が高まるかだけを追求した近大には色々と良いところがあったが、徹底的にマグロで勝負した。大学名を変えたら、どの大学でも使えるようなクリエイティブは排除した。

 消費者にとって役に立つ・面白いコンテンツの作成にもこだわった。入学式にミュージシャンのつんく氏、卒業式に実業家の堀江貴文氏やタレントの西野亮廣氏を呼んだ。講演はすべて15分におさめてYouTubeに掲載した結果、西野氏の動画は1100万回再生を記録している。元々ある強みや、既存コンテンツを工夫するだけでここまで結果は出せるのだ」
  
近畿大学 経営戦略本部/本部長
世耕 石弘 氏

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