ライジングアジェンダ2022外伝 #02

知と汗と涙の近大流コミュニケーション戦略とは、近畿大学 世耕氏が語る【ライジングアジェンダ2022レポート外伝 第2回 】

 

(2) 同じ舞台で戦っても勝てない

  
オープンキャンパスのサイト

「『近大は世界の食卓を激変させた』『近大は世界大学ランキングの常連』とアピールしても、受験生は増えない。近鉄バファローズがどんなに成績がよく、阪神タイガースがビリでも、阪神のほうがお客さんが多かった。結局は機能やサービスより、消費者にとって面白いか、役に立つかが大切である。自分が近鉄の広報をしていたときの失敗をしてはいけないと思った。

 人の頭の中にできた「関関同立ブランド」の中には、どんなに頑張っても入れない。関東でも「早慶上理」「G・MARCH」というブランドのフレームがあり、それを壊すことは簡単ではない。

 であれば、同じ舞台で戦わないのが大事だ。大学のイメージ調査では、「落ち着いた大学:関西33位」「まじめな大学:関西64位」「上品な大学:関西150位」だが、こういう領域ではそもそも戦っていない。

 一方で「エネルギッシュな大学」「チャレンジ精神がある大学」「面白みがある大学」「親しみが持てる大学」「学生のコミュニケーション能力が高い大学」「自由な大学」で全国1位になった。それによって、総志願者数は20万9522人、一般入試志願者数で9年連続日本一となった。
 

まとめ:福田の所感


 自社が言いたいことではなく、徹底的に消費者視点になっていること。そして消費者にとってわかりやすく、響くかということ。それを徹底している好事例だと思います。マーケティングとは「人の心を変えること」と足立氏がキーノートでおっしゃっていましたが、まさにそれを徹底している事例だと感じました。

 みなさんも、競合と同じ土俵で戦おうとばかりしていないでしょうか。自社のプロダクト・サービスに目を向けてみると、競合にない、消費者にとって魅力的な内容が必ずあるはずです。今一度振り返り、訴求できないかを考えてみましょう。

 それでは、「ライジングアジェンダ2022」レポートの第3回もお楽しみに。

・「マーケティングでキャリアを築くために」ファミリーマート CMOの足立光氏とサンリオの須佐奈央子氏
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