ライジングアジェンダ2022外伝 #03

ライフネット生命 森社長が語る、ファイナンス視点から眺めるマーケティングとは【ライジングアジェンダ2022レポート外伝 第3回】

前回の記事:
知と汗と涙の近大流コミュニケーション戦略とは、近畿大学 世耕氏が語る【ライジングアジェンダ2022レポート外伝 第2回 】
 オンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」を運営するキラメックスでマーケティングを担当している福田保範です。2022年12月7日に行われた、35歳以下の次世代を担うマーケターを集めたカンファレンス「ライジングアジェンダ2022」のレポートの第3弾になります。

「ライジンダアジェンダ2022」では、先輩マーケターの経験と知見から学びを得る「This is my Story」というセッションが開催されました。今回のレポートでは、経験豊富な経営者・リーダーのストーリーを中心に、私の学びも合わせてお届けします。

 私は今38歳でさまざまな人の話を聞いてきましたが、こういった違う業界の方の経験を聞く機会は非常に貴重です。それぞれが信念を持って仕事に取り組んでおり、大変参考になると共に刺激を受けました。読者の皆さまも、共感する部分は積極的に取り入れて、レベルアップの材料にしてもらえればと思っています。

 第3弾は、2018年に34歳の若さでライフネット生命保険の社長に就任、業績を伸ばし続けている森亮介氏のストーリーです。森氏はマーケティングではなく、ファイナンスを軸にキャリアを積んできました。証券会社に入社後、企業買収・資金調達等の財務アドバイスをする仕事をし、ライフネット生命保険への転職後にマーケティングの責任者も務めました。今回は、ファイナンスの知識・経験からみたマーケティングについて、3つの観点で話をしました。
 

(1) ライフネット生命保険の事業について




「ライフネット生命ではファイナンスの経験をもとに仕事をしていたが、2016年頃、自らが合意・発表まで手掛けた戦略提携を、計画だけでなく実行と成果を出すところまで任された。そこが転機となった。
          
 管理する側から、管理される側にまわった。ただ、管理する側の経験を活かして、経営陣がマーケティングに期待しているリスクテイクを自らの権限と責任で実行できる自信があった。
ここを自分の強みとして推進していくことがミッションと考えながら、マーケティングに取り組んでいる。

 ライフネット生命の事業成長には、マーケティングが肝となっている。なぜなら、生命保険は以下の4つの特徴がある商材であるからだ。

1. 数十年以上続く、超長期のB2Cサブスクリプション契約
2. 取引頻度の低いライフイベント型商材。然るべきタイミングでないと、行動に移らない
3. 損得だけではない、「安心を買う」という情緒的な側面が強い
4. 情報非対称性への巨大な不満

 このように、保険には「信用できない」「よくわからない」「家計の負担になる」といった消費者の「ペイン」が数多く渦巻いている中で、いかにバリューを届けるのかが重要になる。生命保険という商品が日本に誕生してから100年以上、プロが「売る」ものとして発展してきた業界ではあるが、今後は生活者が「自ら選んで買うもの」へと転換させなければならない。

 ライフネット生命は2008年から契約が伸び続けているが、2014年くらいに一時的に成長が緩やかになりし、2017年頃から再び勢いが戻った。2014年の課題は、マーケティングだけでは解決できなかった。マーケティングとファイナンスのコラボレーションが必要だった」
   
ライフネット生命のマーケティングとファイナンスについて語る森氏

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