「現場力とは、何か?」~ネプラス・ユー大阪2023 特別企画~ #05

私は社内のメンバーに嫌われています【ネプラス・ユー大阪2023 特別寄稿:I-ne 伊藤翔哉】

前回の記事:
なぜデジタル人材の育成プログラムで「エスノグラフィー」を教えるのか【ネプラス・ユー大阪2023 特別寄稿:林直孝】
  2023年7月12日から13日にかけて、マーケティング・カンファレンス「ネプラス・ユー大阪2023 (主催:ナノベーション)」が大阪(梅田サウスホール)で開催される。テーマは、「現場力~Go beyond your territory~」。AIはじめテクノロジーが発達し、変化の激しい現代では、実際に「現場」で一次情報に触れることが重要という考えのもと、多数の魅力的なセッションが行われる。

 本カンファレンスの開催を記念し、カウンシルメンバーに「現場力とは、何か?」をテーマに寄稿してもらう連載企画がスタートした。第5回は、ネプラス・ユーのカウンシルメンバーであるI-ne 執行役員/ダイレクトマーケティング本部の伊藤翔哉氏になる。
 

嫌われる上司が、トップマーケター!?

 
伊藤 翔哉 氏
株式会社I-ne 執行役員/ダイレクトマーケティング本部

2011年入社後、Eコマースとデジタルプロモーションの戦略に注力し、デジタル関連の広告、マーケティングも兼任。ドラッグストア等のオフライン販売網に拡大展開する、オンライン起点でのビジネスモデルの構築に尽力。2017年、取締役 兼 販売事業本部本部長代理に就任。株式会社VUEN 代表取締役 就任(現職)。2018年、販売本部ブランドプロモーション部部長に就任。2022年1月より、現職。


 私は社内のメンバーに嫌われています(笑)。

 その理由はとても簡単で、現場についてこと細かに理解しようとするからです。具体的には、予算達成の進捗や広告の費用対効果、オフライン商談の決定率、インフルエンサーのトレンド、配送の遅延率、コールセンターのリテンション率、商品レビューの内容、クレーム、SNSのエンゲージメント、新規プロダクトの進捗、グローバルのトレンド、競合他社の動向など、書き出したらキリがありません。

 私がもし逆の立場で、上司がここまで細かく現場を把握しようという姿勢でいたら、たまったものではないと思います。しかし、私はそうやって現場を理解しようという姿勢こそが「現場力」だと思います。

 我々の主たるビジネスであるD2Cやビューティーという領域では、より現場力の高い企業が勝ち続けることは明白です。数年前、その考えをさらに強くする出来事がありました。とある有名なトップマーケターと初めてお会いしたときのことです。その人は、マーケティングの世界で豊富な実績があり、常に結果を出し続けていることで有名でした。名だたる企業の責任あるポストを兼任され、メディアへの出演も多く、非常に多忙な人です。

 そのような立場にも関わらず、自分の担当事業の現場について隅から隅まで把握していることに、私はとても驚きました。冒頭で述べたような現場への理解の高さこそがトップマーケターたる所以か、と深く感銘を受けました。また、その人が常にポジティブな結果を出し続けている背景には、それ相応の理由があるのだと、とても納得させられたのです。
 

「現場力」の強い文化をつくるためには


 外部の広告会社やコンサルティング会社、社内メンバーからの月1回の報告会議では、過去の状況が共有されます。そこで得た情報から意思決定しても、大きな意味も持たないことが多いと思います。

 VUCA時代だからこそ、日々変化する現場のチャンスとリスクを素早くキャッチアップし、事業責任者が適切に意思決定する背中を見せていくことが重要です。そして、実行力があり、現場力の高いメンバーが活躍する土台をつくり、早急に「成功と失敗をする権利」を移譲していくことが求められます。

 この繰り返しがメンバー同士の価値観の共有や意識の向上、競合他社が簡単に真似し難い現場力など強い文化の醸成につながります。個人的には、経験年数が長いマーケターが新たに現場力を身に付けるよりも、セールスやクリエイティブのメンバーがマーケティングを学んだほうが、もともと持っていた現場力が向上して結果につながると感じています。

 現場力が高い人の共通点は、圧倒的な当事者意識と、部分最適だけではなく全体最適を常に考えている点です。そのマインドが組織、上司、仲間、外部パートナーからの信頼になり、事業やサービスが成功しやすい環境をつくる能力にもつながると思います。

 現場力の高いスキルを用いて活躍をしているトップマーケターの先輩や、周りの仲間たちに追いつけるように私も頑張ります!


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