B2Bアジェンダ2023レポート #02

ソフトバンク、旭化成のBtoBマーケターが語る、新しい組織構築と人材育成【B2Bアジェンダ2023レポート】

前回の記事:
マーケティングのスキルは人事でも使える。みずほフィナンシャルグループ CPOが挑む変革【B2Bアジェンダ2023レポート】
  B2Bマーケティングをテーマにしたカンファレンス「B2Bアジェンダ2023」が9月20日、静岡県・浜松市(THE HAMANAKO)で開催された。その中では「BtoBマーケターの価値と役割の『解像度』を上げる」と題して、ゼロワングロース グロースストラテジーディレクターの廣崎依久氏、旭化成 デジタル共創本部 CXトランスフォーメーション推進センターの石川栄一氏、ソフトバンク 法人マーケティング本部 法人戦略企画統括部長の相田伸彦氏がスピーカーとして登壇し、日本電気 インテグレイテッドマーケティング統括部 シニアディレクターの東海林直子氏がモデレーターを務めたセッションが行われた。

 DXや生成AIなどマーケティングを取り巻く環境が変化し、マーケターに求められる役割も複雑化している状況で、その価値は今後どうなっていくのか。マーケテイングオペレーションや生成AIの活用、人材開発などを探ったディスカッションをレポートする。

 

DXの推進や生成AIの誕生などで、マーケティングはどう変化しているか?


東海林 DXや生成AIなどに注目が集まる中で、マーケティングを取り巻く環境も変わってきました。自己紹介とあわせて、今のマーケティングの変化への考えを一言ずつお話しください。

廣崎 ゼロワングロースの廣崎です。当社はマーケティングオペレーションモデルの構築コンサルティング、マーケターの人材育成サービス、レベニュー組織の人材紹介を主に事業を展開しています。

昨今のBtoBのデジタルマーケティング環境は大きく変化しています。従来はプロジェクトが立ち上がったりニーズを認識した段階で営業担当に直接問い合わせが入っていましたが、現在はほとんどの情報をWeb上で収集できるため、連絡をする時点ですでに検討の最終段階であるケースが多いです。
 
ゼロワングロース グロースストラテジーディレクター
廣崎 依久 氏

 大学在学中にマルケト(現アドビ)にてマーケティングインターン終了後、渡米。大学院にてマーケティングを学んだ後シリコンバレーに移りEd Techのスタートアップ企業、Couseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。

それはつまり、マーケターがレベニュープロセス全体において担う責任範囲が拡大していることを意味します。また、マーケティングチャネルやテクノロジーツール、顧客とのタッチポイントの数も爆発的に増えており、それぞれの異なるスキルが必要となるため、マーケターの専門性を高めることの必要性を多くの会社が認識しているのではないかと思います。このような背景からマーケティングチームの中でも、専門性を高め分業と協業をする流れが高まっています。

相田 ソフトバンクの相田です。私はキャリアの約7割でエンタープライズ向けの直販営業を担当してきました。その後、新規事業の開発や法人事業の成長のための戦略企画業務に携わり、2022年からBtoBのマーケティングの戦略企画や様々な施策推進を行っています。
 
ソフトバンク 法人マーケティング本部 法人戦略企画統括部長
相田 伸彦 氏

 1996年 早稲田大学卒。2005年~ 法人営業部門のマネジメント職を歴任し、CEO表彰を複数回受賞。2016年~ 米サイバーリーズンとのJVであるサイバーリーズン・ジャパン社の事業責任者としてセキュリティ事業立上げに従事。2018年~ 事業開始から約2年で国内EDR市場トップシェアを獲得し、セキュリティ事業推部長としてソフトバンクに帰任。2019年~ セキュリティ・AI・IoT事業などソリューション事業を含めた法人事業の戦略企画責任者に就任。2020年~ ソフトバンクグループ会社のシナジー創出のためのCEO直下組織であるシナジードライブセンター長を兼務。2021年~ 法人マーケティング本部 法人戦略企画統括部長として法人戦略企画及びB2Bマーケティング戦略責任者に着任

ソフトバンクの法人事業は直販営業部門が強い組織ですが、顧客のカスタマージャーニーが変わっていくと、それだけでは持続的な事業成長に限界があります。そのため、マーケティングの重要性は社内でも非常に高まってきています。

DXの実現にはデータを溜めて、つないで、徹底的に活用していく。これを基礎として、その上にマーケティング、営業、オペレーション、保守・運用などのバリューチェーンが機能していく仕組みの実現が重要になると思います。

石川 旭化成の石川です。2022年まで旭化成ファーマという医療用医薬品を製造販売する関連会社に所属し、2012年からマーケティングリサーチ、BI(ビジネスインテリジェンス)、SFA(セールスフォースオートメーション)、CRM(顧客管理ツール)などを担当した後、2020年からWebマーケティングを担当しました。2022年からは旭化成 デジタル共創本部CXトランスフォーメーション推進センターで、旭化成グループ全体の営業・マーケティングに関わるDX推進を行っています。
 
旭化成 デジタル共創本部 CXトランスフォーメーション推進センター長
石川 栄一 氏

 筑波大学大学院ビジネス科学研究科経営システム科学専攻修了(経営学)、大阪大学理学部高分子学科卒業。大学卒業後、旭化成工業株式会社(現旭化成株式会社)に入社。医薬部門(現旭化成ファーマ)に所属し、医療用医薬品営業に従事。その後プロダクトマネージャーとしてマーケティング・営業推進を担当。2012年より市場調査並びにデータ分析、SFA・BI開発運用の責任者。2020年にデジタルマーケティング組織が発足し、新規SFAの開発とWebサイトの立ち上げをリード。2022年4月より現職。

私が長年携わった医療用医薬の分野では、あらゆるデータが揃っています。国内のすべての医師にコードが附番され、性別・年齢・卒業大学・勤務先・専門分野などのデモグラフィック(人口統計学的な属性の総称)情報を入手できます。また、医療機関についても病床数・診療科・患者数に加え、医薬品ごとの売上を把握できます。他にもレセプト(医療機関が保険者に提出する月ごとの診療報酬明細書)情報や、競合製品のプロモーション状況、営業であるMR(医療情報担当者)の評価などのデータも販売されています。医療用医薬品の業界は、いかにデータドリブンでビジネスを推進するかが勝負の分かれ目となります。

旭化成ファーマでは、コロナ禍以降、MRのプロモーション数が急激に減少したため、それを補完するために、MRがWeb会議システムを使ったオンライン面談、自社Webサイトや医療系ポータルサイトを通じたeプロモーション、ウェビナーなどを積極的に展開しています。

マーケティングを実践するにあたってデジタルマーケティングチームとプロダクトマーケティングチームの連携が非常に重要だと考えています。

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