B2Bアジェンダ2023レポート #03

Sansan、パーソル、マクニカのB2Bマーケターがセールスマーケで陥いる罠を赤裸々に語る【B2Bアジェンダ2023レポート】

前回の記事:
ソフトバンク、旭化成のBtoBマーケターが語る、新しい組織構築と人材育成【B2Bアジェンダ2023レポート】
  B2Bマーケティングをテーマにしたカンファレンス「B2Bアジェンダ2023」が9月20日、静岡県・浜松市(THE HAMANAKO)で開催された。「日本のB2Bマーケターが陥っている罠」と題して、パーソルホールディングス 法人マーケティング室 室長の繁田佳典氏、マクニカ ネットワークスカンパニー 営業統括部マーケティング部 第1課/課長の木村智美氏、Sansan セールスディベロップメント部 部長の原田京昌氏がスピーカーとして登壇し、ユニファイド・サービス 執行役員 CMOの甲斐博一氏がモデレーターを務めたセッションが行われた。

 B2Bマーケティングには様々な関係者がいる。日々リードの数や質を追いかけるB2Bマーケター、お客様とのアポイント獲得のために奔走するインサイドセールス、さらに受注を目指して商談を重ねるフィールドセールスなど、企業の利益獲得を目指してそれぞれの立場で職務を遂行している。しかし、この分業化で見えなくなっていることがないだろうか? 今回は、幅広いB2Bマーケティングの活動領域の中でも営業企画の側面をもって実践するセールスマーケティング領域に絞って、今後必要になる活動について議論したセッションをレポートする。

 

セールスマーケティングが抱える多数の課題


甲斐 BtoBマーケティングを事業成長へ貢献する役割と位置づける場合、事業企画を起点とし、プロダクトマーケティング、セールスマーケティング、リレーションシップマーケティングの大きく3つの領域に分かれます。今回は現場に近しい部分として「セールスマーケティング」に特化して議論します。はじめに、皆さんが抱える課題について聞きたいと思います。

原田 現在のSansanは拡大フェーズに入り、インサイドセールスは大きく2つの課題を感じています。1つ目がリードの枯渇、2つ目はインサイドセールスを担当するメンバーの育成です。

SaaSのプロダクトなのでツールの魅力をどれだけ早くお客様に理解してもらうかが重要ですが、そもそも供給するリードの数が足りていないのが現状です。また、リードをナーチャリングする上で、そのための社内人材の育成が必須となります。

ただ、プロダクトの急拡大に伴って採用も急激に進めているため、「早期立ち上げのための育成」と「過去のリードの効率的な掘り起こし」の両輪を回しながら進めることが大事だと捉えています。

木村 マクニカにも2つの課題があります。1つ目は、組織の仕組みです。我々は40近い製品があり、それぞれの営業にプロダクトマーケターが付き、それを支援するスタイルを採用していますが、この仕組み自体がうまく回っていない状況です。マーケティングにそこまで力を入れなくともリードが溜まる製品もあれば、ゼロから立ち上げる製品もあるのにもかかわらず、それらをすべて同じ仕組みで管理しなければならないところが課題です。
 
マクニカ ネットワークスカンパニー 営業統括部 マーケティング部 第1課/課長
木村 智美 氏

 大学卒業後、シンクタンクに入社し、金融システムの開発に従事。その後、国内ITソフトパッケージ会社にて、開発を経てProduct Marketing Manager組織を立ち上げ自ら PMMとなる。2019年よりマクニカでは、多数の商材をもつセキュリティ事業やAI事業にて、それを束ねたブランディング、PR 、Lead Generation、Mops、人材育成に従事。

2つ目は、クライアントの解像度です。マクニカではサイバーセキュリティやIT系の商材を扱っているため、クライアントは大手企業の情報システム部門が多いです。しかし、我々のマーケターは文系出身の若手であることが多く、顧客への解像度が低いまま作業していることがあります。

それを改善するために、社内の情報システム部門の人に頼んで、日々の業務内容や組織体制、今抱えている課題などをマーケター向けに話してもらいました。とはいっても、若手はまだまだ理解できていない部分もあったので、一度きりで終わらずに、今後も続けて顧客への解像度を上げていきたいと思っています。

繁田 我々パーソルホールディングスは、顧客の課題に沿って子会社のソリューションをご案内し、引き合いがあれば事業会社にトスアップするという座組みのマーケティングを実施しています。よくある課題としてSQL(営業担当者が受注確度の高いと判断した見込み顧客)からアポイントは取れるのですが、最終的に受注に繋がっていないケースが多い点が挙げられます。

例えば、プロダクトによっては300件の問い合わせに対して成約が0ということもあります。その原因を確認しようと思っても、子会社のクライアントに対して親会社が入り込む行為は抵抗を招いたり、時間を取ってもらえなかったりして、原因を明確化できないまま時間が過ぎてしまっています。
 
パーソルホールディングス 法人マーケティング室 室長
繁田 佳典 氏

 2008年、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。求人広告サービスanの代理店営業や営業企画、マネジメントを経て2019年にパーソルホールディングス株式会社に転籍。 マーケティングオートメーションやインサイドセールスを活用したグループのデジタルマーケティングを牽引。

甲斐 ここまでの話しをまとめてみると、大きく4つの課題に対峙していると感じます。1つ目は、リードの全体量とスループット(リードから商談、制約へのコンバージョン)の効率問題。要は売上目標に向けて量が足りないという点です。2つ目は、クロスセルやアップセルなど、顧客と継続的な関係をつくりビジネスを拡大させていくことへの課題です。3つ目に、特にインサイドセールスにおいては人的リソースの最適な量と質の問題です。最後4つ目に、現在のプロセス実行だけでは顧客理解と解像度があがりにくい問題です。課題をこのように分類して皆さんとディスカッションしていければと思います。まず、この課題設定でよろしいでしょうか。

繁田 パーソルホールディングスの場合、多くの子会社をかかえているので、ひとつの会社やお客様に対してさまざまな側面からアプローチできるという構造があるので、より継続的なビジネス拡大についてはまさに今瀕している課題です。

原田 Sansanでは顧客理解と解像度が低い問題に関してかなり共感します。たとえば、我々が提供しているインボイス管理サービス「Bill One」は経理部門をターゲットとしているため、経理という専門家を理解し、どれだけ解像度を高められるかがとても重要ですが、そこに非常に苦労しています。

木村 マクニカはDXやデジタル化に多額のコストを費やしているのですが、投資している割には「どこがネックになっているのか?」が明確になっていないことが問題だと感じています。まずは問題を正しく可視化する必要があると考えています。

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