あなたのクリエイティブ・ジャンプは何ですか?~ネプラス・ユー京都2024 特別企画~ #02

考えて、考えて現場に立ったときアイデアが降りてくる【ネプラス・ユー京都2024特別寄稿:シェラトン都ホテル東京 能川一太】

前回の記事:
生き残るために、谷底へ飛び込む勇気と準備を【ネプラス・ユー京都2024特別寄稿:近畿大 世耕石弘】
 2024年5月20日から21日にかけて、全国のマーケターが京都で一堂に会するカンファレンス「ネプラス・ユー京都2024(主催:ナノベーション)」。全体テーマである「クリエイティブ・ジャンプ」について、関西をはじめとして国内外で活躍するトップマーケターでもあるカウンシルメンバーに聞いていく本企画。第2回はシェラトン都ホテル東京 取締役総支配人の能川一太氏に、自身が重視する「思考」と「現場」に焦点を当てた「クリエイティブ・ジャンプ」体験談を寄せてもらった。
   
昨年の「ネプラス・ユー大阪2023」の様子。「現場力」をテーマに熱い議論とネットワーキングが交わされた
 

オフィスで頭が疲れるまで考え、現場で「肌感覚」を身に付ける

 
能川 一太 氏
シェラトン都ホテル東京/取締役 総支配人

 シェラトン都ホテル東京総支配人。それまでは近畿日本鉄道で、駅や美術館などの設計、建築、観光プロモーション、志摩スペイン村の支配人、レジャー事業を、また近鉄都ホテルズで、マーケティングを担当。

 クリエイティブジャンプ。この言葉、私は初めて聞きました。皆さんの中にも、聞いたことのない方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?

 ところで、私はこのテーマを聞いた時、クリエイティブの力でジャンプ、即ち事業を飛躍的に伸ばすことなのかなと考えました。では、そもそもクリエイティブって何でしょう? 皆さんは自分の言葉で誰かにきちんと説明ができますか? 

 そこでクリエイティブジャンプという言葉を検索してみました。すると、いくつかの解釈、表現があるんですね。その中で私が経験上、皆さんにお伝えできると思ったのがこれです。

「アイデアを考えて考えて考えて…出ないけど頑張ってると、突然思考がジャンプする。
アイデア出た!という瞬間。これがクリエイティブジャンプ。」

 有名なコピーライターの言葉として、あるブログで紹介されていました。

 私が「Agenda note」で「関西発・地方創生とマーケティング」という連載の執筆を始めたばかりの頃に書いた記事の内容が、まさにこれでした。私が以前に携わっていたテーマパークでは、内容が素晴らしいにもかかわらず、認知が広がっていなかったフラメンコショーがありました。宣伝費はほぼゼロでしたが、一度見てもらえればリピートや良い口コミにつながる自信がありました。このショーの観客数をなんとか伸ばそうとしていたときの体験談です。少し長いですが、記事から抜粋します。

「まず私自身が何回もショーを鑑賞して好きになりました。好きになることでお客さまに見てもらいたいと、オススメしたくなります。そうすると、何をすれば良いのかを必死に考えるようになります。

 ここで大事なのは、オフィスで頭が疲れるまで考えること。そして、必ず現場に足を運ぶこと。幸いなことに、テーマパークでは、オフィスで行き詰まったときに一歩外に出ると、そこには非日常な空間が広がっています。

 お客さまやキャストの何気ないひと言や動作を偶然見かけて、数日間必死で考えても出なかった答えが、文字通り“降りてくる”ことが何度かありました。かつて上司から現場は大事だと言われてきましたが、ここにきてやっと、『ああ、こういうことを言っていたのか』と得心したものです。

 ホールで立礼していると、お客さまから『素晴らしい!感動した!安すぎる!』と声をかけられることがあります。さらに、現場に出ると、ゲストとキャストの生の声を聞くことが出来て、何に取り組むべきかを判断する上での肌感覚が身に付きます」

 このときは、小さなお子さまがぐずって途中退席されるお客さまを見かけたり、「子連れでショーを鑑賞できるのか」と問い合わせてくるお客さまがいらっしゃるという話を現場のキャストから聞いたりしたことから、「子ども無料キャンペーン」を着想しました。それを思い切って期間限定で打ち出したところ、有料の大人観客を増やすことができ、アンケートでも「子どもが無料だったこと」が、来場の大きな理由になっていたことが裏付けられました。

 そのほかにも、さまざまな無料トライアルキャンペーンを試し、その都度アンケートを実施して分析しました。すべてのキャンペーンがうまくいった訳ではありませんが、結果的に私が赴任した後の3年間で、ショーの売上が40%アップしたのです。
 

 そう、このように必死に考えていると、ある時、本当に思考がジャンプすることがあります。これを経験しているかどうか。分かる人には分かる。そして「そんなことあるの?」という人は、未だ、考え足りていないのかもしれません。

 あらためて、「ネプラス・ユー京都2024」のテーマとして掲げられている、「サイエンスだけでもアートだけでも成し遂げられない、売上や集客を押し上げるクリエイティブ・ジャンプ」を考えてみます。私の経験に置き換えると、こういうことでしょうか。

 アートとは、現場に出てゲストとキャストの生の声を聞いて、何に取り組むべきかを判断する上での「肌感覚」を身につけること。サイエンスとは、アンケート結果や分析したデータ、ロジックを突き詰めて、オフィスで頭が疲れるまで考え抜くこと。どちらが欠けていても、上記の成果は得られなかったでしょう。

 ネプラス・ユーの当日は、関西だけでなく全国から集まったスピーカーやマーケターから、どんな話が聞けるでしょうか。いろんな人のいろんな考えを聞いて、ご自身のクリエイティブ・ジャンプにつなげてください。
 

ネプラス・ユー京都2024 開催概要

  
名称
Ne Plus U 京都 2024(ネプラス・ユー 京都 2024)
日時
2024年5月20日(月) - 21日(火) *2DAYS
会場
京都テルサ テルサホール
〒601-8047
京都府京都市南区東九条下殿田町70 JR京都駅(八条口西口)より南へ徒歩約15分
参加方法
ブランド(2DAY):無料(事前審査制)
ブランド(ワンデイ):無料(事前審査制)
プレミアムブランド枠:100,000円(税込110,000円)
パートナー枠:250,000円(税込275,000円)
定員
250名
ハッシュタグ
#NPU24
主催
株式会社ナノベーション
特別協力
アジェンダノート(Agenda note)
ネプラス・ユー京都2024 公式サイトは、こちら

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