あなたのクリエイティブ・ジャンプは何ですか?~ネプラス・ユー京都2024 特別企画~ #03

ダイキン流クリエイティブ・ジャンプ、秀逸コピー「空気で答えを出す会社」は漢方薬のように効いてきた【ネプラス・ユー京都2024特別寄稿:ダイキン 片山義丈】

前回の記事:
考えて、考えて現場に立ったときアイデアが降りてくる【ネプラス・ユー京都2024特別寄稿:シェラトン都ホテル東京 能川一太】
 2024年5月20日から21日にかけて、全国のマーケターが京都で一堂に会するカンファレンス「ネプラス・ユー京都2024(主催:ナノベーション)」。全体テーマである「クリエイティブ・ジャンプ」について、関西をはじめとして国内外で活躍するトップマーケターでもあるカウンシルメンバーに寄稿してもらう本企画の第3回は、ダイキン工業 総務部広告宣伝グループ長 片山義丈氏が登場。クリエイターとの協業において大切なこととは?企業のブランドイメージを向上させるクリエイティブへの考えを語ってもらった。
   
昨年の「ネプラス・ユー大阪2023」の様子。「現場力」をテーマに熱のこもった議論とネットワーキングが交わされた。
 

「空気で答えを出す会社」は中長距離ジャンプ

 
片山 義丈 氏
ダイキン工業 総務部宣伝広告グループ長

 1988年ダイキン工業入社、総務部宣伝課。1996年広報部広報担当。2000年広報部広告宣伝・WEB担当課長を経て2007年より現職。業界5位のダイキンのルームエアコンを一躍トップに押し上げた新ブランド「うるるとさらら」の導入、ゆるキャラ「ぴちょんくん」ブームに携わる。統合型マーケティングコミュニケーションによる企業ブランドと商品ブランド構築、広告メディア購入、グローバルグループWEBサイト統括を担当。日本広告学会員。

 昨今のデジタル広告は、クリエイターでなくても簡単にバナー広告のようなものがつくれて、ABテストをして、クリック率の高い方に寄せていくのが一般的な手法ですよね。ただ、たとえばそれを10個つくっても、どれも100点満点の50点代のクリエイティブで、どんぐりの背比べ。ベストの広告と言っても結局59点の広告を採用しているだけ、ということも多いのではないでしょうか。

 でもクリエイティブって本当は、マーケターのアイデアを伝わるように変換していただくもので、59点どころじゃないすごい力を発揮することがあるのです。簡単に広告をつくれる時代になって、表面的な広告評価ができると思い込み、軽視されがちになっていますが、クリエイティブは実はものすごく大切です。

 一方で逆説的ですが、クリエイティブに頼りすぎるのも良くありません。「いろいろ考えたけれど、最後はクリエイティブの力でものすごくジャンプさせてや!」というのは無理ですよね。なのでこの両面で考えなければいけません。

 さて、どうしたら「クリエイティブ・ジャンプ」できる確率が上がるのかが、今回の「ネプラス・ユー京都2024」のテーマです。要素は2つだと思います。

 まず大切なのが、当然ですがクライアントである企業が誰に何を言いたいのか、何をしたいのか、しっかり考えること。そしてそれをクリエイターにしっかりと伝えるということです。この伝えるということが実は本当に難しい。優秀なクリエイターAさんでも、クライアントから10しか情報をお伝え出来ないと、せいぜい30程度のアウトプットしか出来ないでしょう。逆にAさんほど優秀ではないクリエイターさんであっても、100をインプットしたら100以上が返ってくる可能性が高まります。クリエイターの能力を最大限発揮してもらうために、クライアントからの情報のインプットは極めて重要です。これを解決するためには、毎回単発で別々の人に依頼するよりも、同じ人と対話を重ねながら、クリエイティブの質と一貫性を向上させていくといいと思います。

 もうひとつは、やっぱりジャンプできるクリエイターにつくってもらうこと。私に「つくれ」と言われたって無理ですよ。優秀なクリエイターは、過去の蓄積と分析の上に高いスキルと「アート」を持ち合わせる、非常に専門性の高いプロフェッショナルです。ツールの発達でちょっといい感じのものや面白いものは簡単にできるけれど、達成したい目的にたどり着くためには、できるだけ優秀な人にお願いすることがやっぱり大切です。

 ダイキンはこのことを意識して、自ら考えた上で、優秀な同じクリエイターにお願いしており、「空気で答えを出す会社」というブランドメッセージもその方々に提案してもらいました。まだ企業の「パーパス」がそこまで認知されていなかった頃ですが、あの言葉によって、企業として軸ができて、方向性が示され、顧客や社会とのコミュニケーションが変わっていきました。しかも、これはもちろん想定していませんでしたが、コロナ禍を経て、我々が長年訴えてもなかなか届かなかった「空気」の重要性は非常に伝わりやすくなりました。皆さんが想像する華々しい「クリエイティブ・ジャンプ」に該当するかは分からないけれど、ダイキンの一貫した思想やパーパスを伝える、素晴らしいクリエイティブでした。
   

 このパーパスの例が象徴するように、ダイキンの広告は、華やかさはあまり無いけれど味わい深い、「いぶし銀」なものが多いです。

 「クリエイティブ・ジャンプ」と聞くと商品広告において一発で強いインパクトを与えるクリエイティブをイメージされがちですし、毎回のように成功されている企業もあり、すごいなと思います。そのような企業はクリエイティブが文化として根付いておられて、フツウの企業には絶対に真似できません。

 一方で企業のブランドイメージをつくるというのは本来、とても時間のかかる仕事です。ダイキンで言えば、高い技術力や信頼感を伝えることを意識しています。その独自性をダイキンらしく、中長距離的なスパンで顧客とのコミュニケーションを通して伝えていくことが正攻法です。

 瞬間爆発的なクリエイティブや、時間をかけて効いてくる「漢方薬」のようなクリエイティブ・ジャンプも、どちらも企業のコミュニケーション戦略においては重要です。

 そしてそもそも、クリエイティブの力は広告等のコミュニケーションに限らず、さまざまな企業情報や事業活動にも効果を発揮するものであり、これらの分野でクリエイティブの力を活用することが、企業をこれから大きく発展させていく可能性を持っていると考えます。
 

ネプラス・ユー京都2024 開催概要

  
名称
Ne Plus U 京都 2024(ネプラス・ユー 京都 2024)
日時
2024年5月20日(月) - 21日(火) *2DAYS
会場
京都テルサ テルサホール
〒601-8047
京都府京都市南区東九条下殿田町70 JR京都駅(八条口西口)より南へ徒歩約15分
参加方法
ブランド(2DAY):無料(事前審査制)
ブランド(ワンデイ):無料(事前審査制)
プレミアムブランド枠:100,000円(税込110,000円)
パートナー枠:250,000円(税込275,000円)
定員
250名
ハッシュタグ
#NPU24
主催
株式会社ナノベーション
特別協力
アジェンダノート(Agenda note)
ネプラス・ユー京都2024 公式サイトは、こちら

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