ライジングキャンプ2024レポート #03

「スピードを磨くと、必ず自分の成果に返ってくる」トリドールCMO南雲克明氏が大事にする原則【ライジングキャンプ2024レポート】

前回の記事:
トリドールCMO南雲克明氏が語る「感動体験の追求」に必要な戦略的思考とは?【ライジングキャンプ2024レポート】
 若手マーケターに必要な議論と共創のための学びのキャンパス「ライジングキャンプ2024(主催:ナノベーション)」が2024年7月23日と24日に東京(東京大学 伊藤国際学術センター 伊藤謝恩ホール)で開催された。

 キーノートでは「『感動』を生み出すマーケターになるには」と題して、トリドールホールディングス 執行役員CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長の南雲克明氏がスピーカーとして登壇した。同社は想像を超えたヒット商品を数多く生み出し、コロナ禍や物価高で打撃を受ける外食産業の中でも新たな価値を創造し続けている。

 第2回では、南雲氏が感動を生み出すために必要な具体的なスキルや戦略的思考について紹介した。第3回では、感動を創出し成果を上げていくために必要な組織のあり方と、35歳以下の若手マーケターへのメッセージついて詳しく紹介する。
 

スピードはすべてにおいて必要


廣澤 続いては組織がテーマです。基本的にマーケティングでも経営でも、組織的な活動の大前提は「人をもって事を為す」という考え方です。これは経営学者のチェスター・バーナードが1938年に発表した言葉で、100年近く経った今でもその重要性が語られ続いています。

ここからは、組織で人を動かし、感動を創出し、成果を上げていくために必要な要諦は何か、南雲さんに聞いていきます。
 
ビジネスにおいて、ヒト動かし成果を出すために必要な力とは?

※すべては目的がスタート地点
1. スピード 
2. 信頼の蓄積 (数字が上がるという信頼、仲間であるという信頼)
3. インサイトを見つける力 (その人のインサイトは何?を常に)
4. 共感/ワクワクする画・ビジョン・コンセプトを描く力
5. コミュニケーション能力 
6. リーダーシップ 
7. あきらめない力

南雲 ここでもやはり、すべてのスタート地点は「目的」です。この原則は変わりません。

まず1つ目に挙げる「スピード」と、2つ目の「信頼の蓄積」は密接に関連してきます。信頼の蓄積には、相手の要望に応えるスピード感が重要です。

社内でもクイックレスポンスを積み重ねることで、「この人に頼めば、速く答えてくれる」という印象を持ってもらえます。そして、スピード感を持って対応し、結果を出し続けることで、「南雲に任せれば数字が上がる」と信頼されるようになります。
 
トリドールホールディングス
執行役員CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長
南雲 克明 氏

  早稲田大学大学院商学研究科卒、MBA。コナミスポーツ、サザビーリーグなどBtoCの事業会社において様々なブランドのマーケティング責任者を歴任。2018年トリドールホールディングス入社。2022年より現職。“感動(KANDO)”を起点に、感性とデータサイエンス両側面から持続的に選ばれる確率を高める「感動ドリブンマーケティング」を推進。ブランド×CX×EXのスパイラルアップモデル、消費者に選ばれるパーセプションと衝動を二律両立させるマーケティングモデル、丸亀うどん弁当・丸亀シェイクうどん・丸亀うどーなつなどのコンセプト・コミュニケーション・クリエイティブ開発も手掛ける。ビジネス・ブランド・企業価値を持続的にグロースさせ続けるマーケティングの革新に取り組む。

私は社内の別部署からのオーダーを断らないようにしています。チームのメンバーにも「断らないで欲しい」と伝えています。営業や現場のスタッフが困って依頼してきている状況で、先にGIVEすることで「この人は仲間だ」という印象を持ってもらえます。

あとは再三お伝えしている通り、「インサイトを見つける力」も重要です。これは消費者インサイトに限らず、たとえば社内の経営企画室の室長や商品開発部の担当者は何を考えているのか、一人ひとりのインサイトを探ります。

そのほか、「共感・ワクワクするビジョン」や「コンセプトを描く力」、「コミュニケーション能力」は、よく重要だと挙げられることですね。

廣澤 私もスピードが信頼を積み上げるということは、本当にその通りだなと思います。今すぐ対応ができなくても「明日の朝一に資料を送りますね」など、何かしら返事を送る。完璧ではなくてもいいから、ひとまず回答することがすごく大切だと思います。

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