リテールアジェンダ2024 #04
KKD(経験・勘・度胸)の強みと限界とは?「リテールアジェンダ2024」が東京で開幕
データと経験・勘・度胸の共存
国内外のリテールのマーケターとメーカーのマーケター、そしてパートナーをつなぎ、一気通貫のマーケティングを実現するためのカンファレンス「リテールアジェンダ2024(主催:ナノベーション)」が11月11日、東京(大手町三井ホール)で開幕し、会場は熱狂に包まれた。今年のテーマは「Data to Impactful Actions」になる。
最初のキーノートでは「なぜ使われない?データ活用の謎:KKDにある本質」と題し、グッデイ 代表取締役社長の柳瀬隆志氏、サントリーホールディングス DX戦略部 課長の安岡智史氏、店舗のICT活用研究所 代表の郡司昇氏がスピーカーとして登壇し、グランドデザイン 執行役員の村尾大介氏がモデレーターを務めた。
近年は「データ活用が重要である」「多くの企業がDXに取り組んでいる」とされている一方で、多くの担当者が「ほとんどデータを使っていない」と答えている。特にマーケティング領域では、KKD(経験・勘・度胸)が直感的で理解しやすく有用とされ場面が多いが、複雑化する消費行動に対応するには限界がある。データの重要性が理解されているにもかかわらず、結果として直感や経験に頼り、データ活用が後回しにされているのが実情なのだ。
これらの課題を前提に、本セッションではKKDの強みと限界を理解し、データが活用されない本当の理由について議論された。リテールの現場においてさまざまな事象に対して測定がされていないデータがあることや、社内のデータを活用した人材教育の制度が整っていないことなどが示され、2日間のマインドセットが行われた。
続くスペシャルセッションでは「顧客体験と売上に直結するリテールアプリのデータ活用戦略」と題して、すかいらーくホールディングス 執行役員 マーケティング本部 マネージングディレクターの平野曉氏、ユナイテッドアローズ OMO本部 本部長の岩井一紘氏がスピーカーとして登壇し、はなまる マーケティング本部 CMOの髙口裕之氏がモデレーターを務めた。
飲食業界、アパレル業界それぞれの業界特有の視点から、同じリテール領域でもアプリに求める目的が「日常消費型」と「嗜好消費型」で異なることを前提に、データの収集・加工・活用法を紹介。アプリを軸にデータを活かした全体戦略と、それがビジネスに与えるインパクトに焦点を当てた議論が展開された。
テーマは「Data to Impactful Actions」
2日目も見どころ満載の公式セッションが行われる。キーノートにはスーパーサンシ 専務取締役 NetMarket事業本部長 システム部/開発部統括の高倉照和氏が登壇し、収益化が難しいとされているネットスーパーで、大手とは異なる戦略をもとに黒字化に成功している秘訣について迫る。
また、イトーヨーカ堂 商品本部 リテールメディアプロジェクト ディレクターの望月洋志氏がデータ連携の本質を語るセッションやセブン-イレブン・ジャパン マーケティング本部 デジタルサービス部 兼 リテールメディア推進部 総括マネジャーの杉浦克樹氏とロート製薬 リテールマーケティング部/部長の角田康之氏がリテールメディアの価値と可能性について語るセッション、イオンリテール 営業企画本部 デジタル企画部 部長の田中香織氏がイオンリテールが実践することが見えてきたリテールメディアの課題と活用方法について示すセッションも予定している。
今年の「リテールアジェンダ2024」のテーマは「Data to Impactful Actions」になる。現代では、さまざまな手法でビッグデータを収集し、その保有に満足しているリテールのマーケターが多い。そこで本テーマのもと、データから得られた事実を整理し、マーケターの知識や経験と掛け合わせて斬新なアイデアを生み出し、数値的にインパクトのあるアクションへと落とし込むプロセスを探求する。