ライジングアジェンダ2024レポート #04
「ブランドは細部に宿る」資生堂 清水明子氏が明かす、徹底したこだわり【ライジングアジェンダ2024レポート】
2025/04/02
自分で決断したことは、失敗しても大きな意味を持つ
廣澤 ブランドの人格という部分については、資生堂や花王のようなロングセラーを数多く持つ企業には、創業家の歴史やさまざまなストーリーがあります。ネタになりそうなものが社内にたくさんあるのに、意外とそれらが活用されていないこともありますね。
清水 たしかに、過去にヒントがあることは多いですね。私も入社後、静岡の掛川にある資生堂企業資料館に行き、過去の資料や先人たちの言葉に触れてきました。目の前の商品をどう売るかということ以上に、ブランドの本質的なあり方を、現在の市場環境に合わせてどう翻訳し、未来につなげていくかが重要だと考えています。

廣澤 前編で「データは過去しか映さない」というお話がありましたが、歴史が過去を映し出してくれるからこそ、未来のシナリオのヒントになるということですね。一方で、歴史の浅いブランドを担当している人もいると思いますが、そういった場合、清水さんならどのようにアプローチされますか。
清水 その場合は、市場環境を俯瞰的に見ていくことになるでしょう。他のプレイヤーがどのような競争優位性やPOD(Point of Difference:差別化要素)を持っているのかを分析し、自社ブランドのお客さまにインタビューを重ねると思います。「なぜこのブランドが好きなのか」など競合との違いを徹底して洗い出し、真の競争優位性の源泉を見つけ出してストーリー化することを試みるでしょう。
廣澤 歴史よりもまず、現在の自分たちを理解することから始めるんですね。ありがとうございます。最後に、会場にいらっしゃる若手マーケターへ、エールをお願いできますか。
清水 2つのメッセージをお伝えしたいと思います。ひとつ目は、ご自身が信じる道を選び取っていただきたいということです。私自身、周囲から反対された転職や、給与が下がる転職も選んできました。市場環境は変化し、10~20年前によしとされていたものも変わっていきますが、自分で選択し決断したことは、たとえ失敗したとしても大きな意味を持つのです。
2つ目は、P&Gの入社時にディレクターからかけられた言葉です。「あなたたちは1日の多くの時間を仕事に費やす。だからこそ、仕事自体を楽しんでほしい」。その言葉に、今の私も強く共感しています。日々いろいろなことがあると思いますが、目の前のことを楽しみながら前進していってほしいと思います。
廣澤 貴重なお話をたくさんいただきました。清水さん、ありがとうございました。

※清水明子氏は「Agenda note」が主催する次世代を担う若手マーケターの育成の場となるアクセラレータープログラム「Rising Academy powered by ノバセル (ライジングアカデミー)」で2025年4月10日、「ブランディング」をテーマに講義を実施予定。
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