ライジングアジェンダ2024レポート #05

パルコ安藤彩子氏が語る、苦しいときに立ち返るマーケターとしての2つの原点【ライジングアジェンダ2024レポート】

前回の記事:
「ブランドは細部に宿る」資生堂 清水明子氏が明かす、徹底したこだわり【ライジングアジェンダ2024レポート】
 次世代を担うマーケターが一堂に集う「ライジングアジェンダ2024(主催:ナノベーション)」が2024年12月3日、4日に都内(ベルサール新宿グランド)で開催された。マーケティングの先輩が自らの経験と知見を語り、若手マーケターに学びのヒントを届けるセッション「This is my Story」で、「前向きなキャリアアップの道筋を描くために」と題し、パルコ 顧客政策部 部長の安藤彩子氏が登壇した。

 安藤氏は20代の頃、仕事に対してそれほど関心がなく、マーケティング職へのキャリアチェンジをきっかけに自己成長と向き合ってきた。「会社が変わっても、部署が変わっても、初志を大切にしてきたからこそ、日々の生活が成長のための学びの時間になっている」と語る。本レポートでは、安藤氏が語る自己成長とキャリア形成の極意を紹介する。
 

マーケティングの必要性に気づいた瞬間


 私はもともと、あまり仕事をする気がありませんでした。就職時も特にやりたいことがなく、2~3年働いてから結婚し、専業主婦になろうと考えていたほどです。もちろんキャリアプランもなく、いざ社会に出たものの1社目は3年で退職することになりました。
 
パルコ 店舗事業本部 顧客政策部 部長
兼 J.フロントリテイリング 経営戦略統括部 グループ経営企画部 グループ顧客戦略担当 専任部長
安藤 彩子 氏

 化粧品・アパレルなどのメーカー・小売企業を経て、2018年 パルコ入社。各社にてCRM戦略策定、ロイヤルティプログラム構築、顧客コミュニケーション、顧客データ分析、ポイントサービス開発運用等CRM関連業務に従事し、サービスリニューアルやシステムリプレイスの社内プロジェクトを推進。パルコデジタルマーケティング 社外取締役も務める。

 当時の職場環境は、現在でいうブラック企業のような働き方が多かったように思います。1社目の化粧品メーカーでは、卸営業を担当していました。毎月締め日が近づくと、先輩たちは営業成績を上げるために自社商品を自費で購入し、取引先の在庫枠を空けて商品を卸し、締め日を過ぎると返品する、という行為を繰り返していました。「この仕事は私にはできない」と思い、退職を決意しました。

 その後、一時期は社会からドロップアウトし、引きこもりのような状態になったこともありました。2社目は親の勧めで知人の会社で働きました。そして3社目は自分で会社を選び、トリンプインターナショナルジャパンという下着メーカーに転職しました。

 トリンプでは、過去の挫折に対する自分なりのリベンジで、小売の営業を選びました。結果として、全国で1番売上の大きいエリアを任されるまでになり、それ以降、順調にキャリアを積んでいきました。
  

 そんな中、1社目で経験したような状況が再び目の前で起きたのです。毎月の締め日になると店長やスタッフが予算達成のために自腹で商品を購入し、私にも購入を促してくるような状況です。その光景を見て1社目での苦い経験が蘇ってきましたが、このときの私の反応は1社目のときとは大きく異なりました。

 すぐに会社を辞めようとは思わず、そもそも会社として「なぜこのようなことが起きるのだろう?」と考えました。その結果、マーケティングが機能していないことに気づいたのです。この気づきから、私は営業からマーケティングにキャリアチェンジすることを決意しました。これがマーケターとして働くことになった、私の原点です。

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