SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA レポート #02
「ソーシャルイノベーションの進め方と、街との関係性とは」元レッドブル グローバルマーケター対談
2018/11/06
エクストリームスポーツをはじめとするスポーツシーンやカルチャーシーンに大きな影響を与え、若い世代を魅了し続けるグローバルブランド「レッドブル」。同ブランドが世界の市場で、また後発となった日本市場で成功を収めてきた要因は、マーケティングにあったのか、それともイノベーションにあったのか——オーストリア本社と日本支社でそれぞれレッドブルのマーケティングに携わった経験を持つラルカ・シミック氏、長田新子氏の対話を通じて、イノベーションとは何か、そしてその成功の秘訣とは何かを紐解いた対談の後編になる。
ソーシャルイノベーターへの注目が高まっている
シミック ここ6年ほどソーシャルイノベーションに携わる中で、感じていることがあります。ソーシャルイノベーターが、アスリートやアーティストに匹敵する存在になっているのではないか、ということです。水がない地域に水を引いてきたり、リサイクルを促進して循環型経済をつくったり――そうしたクリエイティブなことを実現していくソーシャルイノベーターに、大きな注目、尊敬が集まっているように感じます。ソーシャルイノベーターの活動は自分一人でやるものではなく、企業をはじめとするいろいろな組織とともに進められるものです。喜ばしいことに、レッドブルが活動に協力することは、多くの場合でとても歓迎してもらえます。一緒に取り組むことで、プロジェクトにクールでセクシーなイメージを与えてくれる、という印象を持ってもらえているためと思います。
ソーシャルイノベーションというテーマ自体は新しいものですが、レッドブルにとっては、これまでに取り組んできたスポーツ活動やカルチャー活動と、根本的には同じものだと考えています。まずは個人レベルや小さなコミュニティから始まって、それがソーシャルイノベーションという活動に発展していくのです。ソーシャルイノベーションを担う人材を育成するアカデミーもでき、より長期的な視点で取り組めるようにもなってきました。
長田 この図が、ひとつの答えですよね。ソーシャルイノベーションであれスポーツ/カルチャーシーンであれ、個から始まるものとどう向き合い、どう一緒に大きくしていくか。それぞれのコミュニティに、いかに「翼を授ける」か。それに尽きるのだと思います。
もちろん、すべてが成功するわけではなく、途中で消えていくものもあると思いますが、そこから学びを得て、次へ次へと進み続けることが大切です。だからこそ、一緒に進めていく人たちとの信頼関係が重要と言えますね。