ダイレクトアジェンダ特別企画 #05

ファッションECサイトは、リアル店舗と「カニバリ」しない【対談 オイシックス・ラ・大地 西井敏恭・ビームス EC 矢嶋正明】

前回の記事:
ビームスの独自「EC戦略」は、どのように誕生したのか【対談 オイシックス・ラ・大地 西井敏恭、ビームス EC 矢嶋正明】
 1月29日から大分・別府で開催されるダイレクトマーケティングの可能性を探るカンファレンス「ダイレクトアジェンダ」(詳細はこちら)。そのキーノートのモデレーターを務めるオイシックス・ラ・大地 CMTの西井敏恭氏が、登壇者に事前インタビュー。第1弾のバルクオム 代表取締役CEOの野口卓也氏に続いて、ビームスのEC戦略を担う矢嶋正明氏が店舗とオンラインの融合、ECサイトの売上を伸ばしている秘訣について語った(後編)。
 

既存店の売上も、2年連続アップ

西井 リアル店舗とECサイトで、商品情報や在庫を連携させていくことも重要だと思います。ビームスでは、どのように考えていますか。
西井 敏恭氏
オイシックス・ラ・大地 CMT
シンクロ代表取締役。1975年5月福井県生まれ。2年半にわたる世界一周の旅行記を更新したWebサイトが大人気となり、帰国後はEC企業にてWebマーケティングに取り組む傍ら、旅行を続け、訪問した国は100カ国近く。Webマーケティングのプロとして「ad:tech」をはじめ全国で講演多数。ドクターシーラボにてデジタルマーケティングの責任者を務め、独立。国内大手からスタートアップ企業のマーケティングアドバイザーをしながら、オイシックス・ラ・大地では執行役員CMTとしてサブスクリプションモデルのEC戦略を担当している。

矢嶋 自社のECサイトに商品や在庫を掲載することで、お客さまとのタッチポイントが生まれます。そこで興味を持って店舗に足を運んでいただく流れが多くあるため、できるだけサイトには幅広い商品を掲載したいと思っています。
矢嶋 正明氏
ビームス EC統括部 部長
2000年ビームス入社。店舗での販売業務等を経て、2005年にEC部門を立ち上げ。責任者としてEC事業全般の拡大に取り組み、2009年に自社ECサイトを開設。以降、店舗と自社ECのサービス共通化を進め、2016年には自社ECを完全直営化。その後、全てのオウンドメディアを統合しメディアコマースサイトを構築。現在は、リアル店舗とのオムニチャネル化を推進中。

西井 自社ECサイトでは、全ての商品を販売しているのですか。

矢嶋 いえ、セレクトショップという業態ですし、店舗でのみ販売が許可されているブランドもあります。そういった商品には、商品名の冒頭に「ショップ限定商品」という文言を付けて、店舗で試着取り置きができるようにしています。

西井 なるほど。販売はしていないにしろ、基本的にビームスのECサイト内には、全商品が掲載されている状態をつくっているのですね。こういった連携で、店舗での売上も伸びているのでしょうか。

矢嶋 いろいろな要素が複雑に絡み合っているため、一概に言えませんが、店舗売上は前年比で順調に伸びています。

西井 やはり、そうですよね。ECサイトの売上が伸びると「店舗の売上を食っている」と店舗が敵に回りがちですが、商品を触って買いたいという人が圧倒的に多いため、ECサイトのアクセスが伸びれば、最終的に顧客は店舗に流れます。だから、ECサイトに絶対に力を入れるべきなのです。

矢嶋 はい。また、新店だけでなく既存店の売上も伸びています。今の時代にはそれが大事で、その下支えをECサイトのコンテンツ発信が担っていると思っています。
 
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