CESレポート #04

自動運転で“部屋化”する車、世界初の商用5Gサービスの“ちょっとしたズル”【CESレポート・電通 若園祐作】

前回の記事:
人を察知するAIの登場、CESが指し示した「スマート家電」の明るい未来【電通 若園祐作】
 米国・ラスベガスで開催される、技術・製品の世界最大のショーケース「CES」。あまりにも規模が巨大で全体を把握することが困難であるため、重点的に見たエリアや来場者の知識によって得られる知見も千差万別です。そんな中、ここ数年視察をしてきた筆者が2019年のCESを振り返り、特に注目するトピックについての一視点をご提供します。後編では、モビリティ業界と5G、そして最後に特に盛り上がっていたAMDのキーノートについて取り上げます。CESを理解する上で少しでも助けになりましたら幸いです。
 

自動運転の世界に猛進するモビリティ業界

 CES会場のうちコンベンションセンター北エリアは、モビリティ業界の集まる区画となったことで、近年モーターショー化しており、ほぼ同時期に開催されるデトロイトモーターショーから話題を奪い取るほどに盛り上がりを見せています。

 今後、自動運転技術の普及により自動車の存在意義が大きく変化することがほぼ確定的となっている中、今年のCESでもモビリティ業界は昨年同様の展示規模でしたが、車が主人公であるモーターショーの雰囲気は薄まってきているとも感じられました。
 
図 5: モーターショー化に一石を投じたのが数年前のNVIDIAです。今年もNVIDIAはモビリティ業界がひしめくエリアの真ん中にブースを構え、自動運転用システムとソリューションを展示していました。
 昨年のCESではトヨタ自動車のe-Palette Conceptが発表され大きな話題となりましたが、今年は全体としてより一層「車の部屋化」が進み、運転が不要になる時代における快適な車内空間と過ごし方を各社が競い合ってコンセプト展示していました。

 現代自動車や起亜自動車のブースは特に極端で、もはや通常の自動車の展示は一台もなく、ほぼすべてが未来の自動運転車を模した体験コーナーと化しています。
 
図 6: 現代自動車の展示は本当にこれだけで、各カプセルの中でVR体験などができるようになっていました。
 自動運転以前、数年後を見据えているコンセプトモデルも多数ありますが、それらの中ではダッシュボードや後部座席を含めたあらゆるスペースにディスプレイを搭載して情報やエンタテインメントコンテンツを表示することがトレンドになっています。

 その構成システムの展示はモビリティ業界のエリアだけではなく、SamsungやPanasonicといったスペースにまで拡大をしており、自動運転にはならずとも部屋化は進めるという業界の流れを強く感じることができました。

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