ヒット商品・トレンドから読み解く、インサイト最前線 #02

「家族で全滅」東京五輪チケットが再発見した、家族で一致団結したいというニーズ

前回の記事:
「令和」新年号キャンペーンが盛り上がりに欠けてしまった理由が、「年越し」との比較で見えてきた

悲喜こもごも、東京五輪のチケット抽選販売


 いよいよ東京オリンピックが1年後の2020年7月24日から始まります。つい先日には東京オリンピックのチケット抽選の当落が発表され、SNS上では悲喜こもごもの叫びが散見されました。

 中には「家族で全滅」という破壊力のあるパワーワードも見受けられ、さながら狂騒曲のようでもありました。
 
出典:https://twitter.com/zawa_chi_/status/1141719309254709248

 そこで今回は、オリンピックチケットに関するソーシャルデータから、この狂騒曲に隠された背景を探りたいと思います。
 

「オリンピックチケット」の定量調査を実施


 インサイトを探るため、ホットリンクが提供されているソーシャルリスニングツール「クチコミ@係長」を使って、「オリンピックチケット」に関するソーシャルデータに目を通しました。加えて、傾向を比較するためにオリンピック以外のチケットに関するデータにも目を通しました。

 「オリンピック チケット 購入」のトレンドは、次のグラフのように推移しています。6月20日をピークに少しずつ減衰しているのが分かります。
【参考】
グループ1:「オリンピック チケット 購入」(転売、譲るは除外)
グループ2:「チケット 購入」(オリンピック、転売、譲るは除外)
※調査期間:2019年06月18日~06月24日

 「オリンピック チケット 購入」のグループ1と、「チケット 購入」だけのグループ2を比較した結果、私たちは「家族」という単語に着目しました。

 グループ1における「家族」の出現回数の割合は、グループ2の約2倍もありました。
 
出典:https://twitter.com/Ryuuukiyama/status/1141602206207971328

 通常のチケット(ジャニーズや韓流、宝塚、スポーツ観戦など)の場合、「自分だけ購入」以外に「母・娘の分を購入」「父・息子の分を購入」という組み合わせは発見しましたが、「家族分を購入」はなかなか見つかりませんでした。

 言い換えれば「家族分を購入」というのは、東京オリンピックのチケット購入に顕著に見られた固有の現象だと言えます。

 考えてみると、私たちはなぜ東京オリンピックのチケットを「家族分」予約したのでしょうか。どうして自分の分だけ予約する、という選択を取った人は少なかったのでしょうか。

 もちろん、オリンピック自体が持っている固有の価値もあると思います。多くの国民が熱狂する世界的なスポーツイベントであり、半世紀以上ぶりの東京での開催です。「その場に参加したい!」と考える人は多いでしょう。ですが、それ以外にも「家族分」を予約しようと思える価値が隠されていると思うのです。

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