SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #16

「新しいソーシャルメディアが!」ではなく、「あのメディアにこんな新しいコンテンツが!」が話題になった1年だった

前回の記事:
企業と消費者の双方に世の中を良くする「聡明さ」が求められている【りょかち】

「流行っているアプリ何?」と聞くのはもう古い


 “若者カルチャーに詳しい人”として誰かに会うと、毎回聞かれることがあった。

 それは、「最近、流行っているアプリってなんなの?」という質問。

 2016年には「やっぱりSNOWですかね、Snapchatは使われているように見えて、そうでもないと思います」と答えていた。2017年は「Instagramですね~」、2018年は「TikTokかな…あとはNetflixとかAbemaTVとかYouTube動画系の勢いがすごい。Podcastをはじめとする、聞くメディアも気になりますね」と回答していた。

 そして2019年。

 2019年がはじまった当初、私は「うーん、最近ソーシャルメディアは停滞しているんじゃないですかね」と答えるようになっていた。

 変わらず若者は「Instagram Stories」を使って“今”を発信しているし、暇なときはYouTubeに視線を落とし、Twitterで趣味が一致する人の発信した情報を探している。メッセンジャーなどオンラインコミュニケーションのつながりは、Instagram Storiesやツイートなどのコンテンツ起点でDMを介して会話がはじまり、親密な人だけLINEに移行していく。これももう3年くらい続いている気がする。

 「インスタ映え」が流行語大賞をとったのは2017年のことだ。しかし2019年になっても、私たちは結局タピオカをInstagramにあげているし、「インスタ映えもするし、次に流行るのはチーズティーかな」なんて言っていた。2019年も終わりなので、若者の中で今年流行ったアプリを検索してみても、並ぶのは数年前から知っているアプリの名前ばかり。

 そうして2019年の終わり、そういえば最近は「流行っているアプリってなんなの?」と聞かれなくなっていることに気付いた。


 

2019年は「コンテンツ」の年だった


 その代わりに聞かれるようになったのは、「最近、流行ってるコンテンツって何?」だ。

 古くは『テラスハウス』『バチェラー』からはじまり、若い子なら『オオカミちゃんには騙されない』、海外ドラマ好きなら『ゲーム・オブ・スローンズ』と『ストレンジャー・シングス』、ドキュメンタリーなら『クィア・アイ』…といった名前が挙がる。

 さらに言うならば、イケてるYouTuberを聞かれて「東海オンエア」「フィッシャーズ」を定番として、「inliving.(インリビング)」「QuizKnock(クイズノック)」などを答えることも多かった。

 ひと昔前まで、Web上にあるネットコンテンツは公式なものでないという風潮があったが、2019年はじめから芸能人がYouTubeに進出し始め、今ではオリエンタルラジオのあっちゃんや、キティちゃんが人気YouTuberに名を連ねたりして、ネットコンテンツのクオリティは加速度的に向上し、みんなが無料で夢中になっている。

 今年の後半には、人気アイドルの嵐が、日本で人気のあるソーシャルメディアほぼ全てに登場して大きな話題になった。明らかに「新しいソーシャルメディアが!」ではなく、「あのソーシャルメディアにこんなに新しいコンテンツが!」が話題になった1年だったと思う。

 また、既存のサービスがコンテンツドリブンで話題になったことも2019年は印象深かった。例えば、カメラアプリはそれが顕著で、春には「Snapchat」で見た目の性別を変えられるフィルターが大流行し、DAU(日間利用者数)が20倍に伸び、ユーザー数を大きく成長させたり、年齢変換フィルターで「FaceApp」が大きく収益を伸ばしたという ニュースを見かけた。

 最近だと、同じく嵐のドキュメンタリーがNetflixで放映されると決まった瞬間、Netflixに関するキーワードが、次々とTwitterトレンドになった。

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