令和女子の解体新書 #06
ジェンダーギャップ指数121位の日本で、動き出した令和時代のフェミニストたち
社会を変える令和時代のフェミニスト現る
2019年11月、フィンランドから驚きのニュースが舞い込んだ。世界最年少、34歳の女性首相の誕生である。一方で同年12月に世界経済フォーラム(WEF)で発表された2019年版「ジェンダー・ギャップ指数」で日本は、対象国153カ国中121位※と過去最低ランクを記録した。
日本におけるジェンダー格差といえば、根強く残る男女間の賃金格差を筆頭に医学部入試における女子減点問題など、次々に課題が浮き彫りとなっているが、昨今、特に注目されている課題の一つが「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)」に関するものだ。
この言葉は日本ではまだあまり浸透していないが、例えば、生理、避妊、妊娠、性感染症、産む・産まないの選択、LGBTやSOGIなど性に関するすべての健康と権利のことで、人生において誰もが直面するようなことだ。
このような生きていく上での根幹に影響する性についての議論が日本では一向に進まず、性教育についても先進国の中で大きく遅れをとっている。
そんな中、自ら課題意識を持ち、プロジェクト立ち上げやサービス開発などで具体的に行動を起こす若い女性たちが注目を集めている。この記事では「令和時代のフェミニスト」と呼ぶにふさわしい、彼女たちとその活動をご紹介する。
日本の避妊法の少なさに気づいて“#なんでないの”
2017年、留学した先のスウェーデンで産婦人科に低用量ピルを取りに行った時にピル以外の様々な避妊法を紹介されて驚いたのは、当時大学生だった福田和子さん。
そこで初めて、世界にはさまざまな避妊法があることを知ったという。なぜ日本にはないのか? 疑問を持った福田さんが帰国後、日本で立ち上げたプロジェクトが“#なんでないの”。世界の安全な避妊法や避妊グッズを紹介し、日本でも自分の体やライフスタイルに合った避妊法を選べるように、今の日本の状況を可視化する取り組みだ。
福田和子さん 1995年生まれ。2019年、国際基督教大学卒業。#なんでないのプロジェクト代表、性の健康医学財団機関誌編集委員。日本でも当たり前にセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツが守れる社会になってほしいという思いから、 2018年5月、『#なんでないのプロジェクト』をスタート。
日本では避妊の選択肢が少ないだけでなく、ピルの値段も高い。日本で暮らす私たちですらほとんど気づいていないこの状況に、「#なんでないの」は気づかせてくれる。
福田さんがこのプロジェクトを始めた背景のひとつが、自身が学生時代に学校で受けてきた性教育。「自分を大切にしましょう」という抽象的な言葉だけが宙に浮き、「何をどうしたらいいか」という具体的な知識が伝わってこなかった。
それは「性」や「セックス」の話が日本でタブー視されているからだと福田さんは気づいた。スウェーデンでは当然に権利として与えられていた知識や選択肢、女性の健康を守る必需品が日本にはないことに、スウェーデンに行ったからこそ気づけたのだ。
現在、福田さんは再びスウェーデンに戻り、大学院で公衆衛生を学んでいるという。日本でも選択肢が広がり、一人ひとりが自由に選べるようになることを目指して活動を続けている。