SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #20
YouTubeやインスタと共存するTikTok。一瞬の流行と捉えるのは、大きな間違いだ
TikTokを多様な方法で楽しむ友人たち
最近、TikTokの話を立て続けに聞くことがあった。インスタグラマーの子が「TikTokでグルメアカウントをはじめました!」と教えてくれた。YouTuberの友人がTikTokを始めて、YouTubeへの導線を付けたらフォロワーが順調に増えていると教えてくれた。
音楽好きの友人からは、音楽配信サービスのチャート上位はTikTokで流行している曲が多数ランクインし続けていることを教えてもらった。
さらに、久々に会った友人から「STAY HOMEの間、TikTokをずっと見ていた」と言われたこともある。私もそれを聞いてから、TikTokを軽い気持ちで開いてみたら、まんまと毎日眺めるようになってしまった。
TikTokをかつて一瞬だけ流行したアプリと考える人がいるならば、それは大きな間違いだ。TikTokはこの外出自粛の中で、じわじわと影響力を強めている。特に米国ではユーザー数が急増しているし、2020年上半期のダウンロード数は過去最多になっている(最近は、米国では使用禁止の検討もあり、先行きは怪しい)。
今回は、もはや若者にとって一般化しつつあるTikTokのプラットフォーム上にあるコンテンツの特性から、SNSにおけるTikTokの立ち位置を整理したい。
粘り強いカテゴリー拡張で、多様なメディアへ
久しぶりにTikTokを見てみると、いつの間にかコンテンツのカテゴリーが多岐に渡っていることに驚くだろう。TikTokを「可愛い女の子が踊っているSNS」と思っているのであれば、その印象は1年以上遅れている。
過去のTikTokのキャンペーンをさかのぼると、2018年からTikTokグルメのハッシュタグをプッシュしたり、2019年からTikTok教室という特集を組んだり、粘り強くカテゴリーの拡大に取り組んできたことがわかる。「リップシンクアプリ」としての流行から数年を掛けて、TikTokは日本市場でなりたい姿に変化してきたと考えてもいいかもしれない。
グルメ、コスメ、アイドル、ネタ動画、歌ってみた、踊ってみた…TikTokはInstagramとYouTubeそれぞれが得意としているカテゴリーを両方、網羅しているように思える。
とある友人によれば、TikTokでパワーポイントの使い方を勉強している人がいるらしい。私もTikTokで英語や韓国語のコンテンツを流し見する時間が増えた。これらもYouTubeの人気カテゴリーと言える学習コンテンツだ。
もちろん私たちが知っている「音楽付き短尺動画アプリ=TikTok」ならではのカルチャーもある。一番大きな特徴は、やはり音楽だ。
音楽を起点に、たくさんのクリエイティブが生まれている状況は変わらない。変わらず誰でも「踊れるダンス」でバイラルしていく音楽もあれば、瑛人さんの「香水」など、多くの一般人がカバーして広がる曲もある。大昔の曲が、ネタ動画などに使われて再度、人気になるのも相変わらずだ。