行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #07
GoToトラベル停止で「予約済みの旅行」をキャンセルした人の心理を行動経済学で分析
凄まじい効用を発揮したGoToトラベル
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、GoToトラベルキャンペーンは20年12月28日から21年1月11日まで、全国一斉で一時停止が決まりました。それに伴い、旅館やホテルで予約のキャンセルが相次いでいると報道されています。
そもそもGoToトラベルキャンペーンは、インバウンド需要に支えられてきた観光関連産業が受けた打撃から回復するために、需要喚起事業の一環として7月から始まりました。旅行代金の35%が割引かれ、さらに旅行先で飲食や買い物に使えるクーポン(旅行代金15%分)が発行されます。つまり「実質半額」なのです。
その効用は凄まじく、第一生命研究所はGoToトラベルキャンペーンの経済効果を0.69兆~1.37兆だと見積もりました(詳細は、コチラ)。また、観光庁の「旅行業者取扱額」を見ると、GoToトラベルキャンペーンが始まった7月以降で前年同月比21.6%(7月)、23.7%(8月)、37.2%(9月)、61.3%(10月)と回復基調にあることが分かります。
GoToトラベルキャンペーンに対して、読者の皆さんがさまざまな想いを抱いていることは理解しつつも、本稿では政策の是非は問いません。キャンペーン一時停止に伴い、なぜ多くの人たちが「予約をキャンセルしたのか」について考えます。
キャンペーンは一時停止しましたが、決して「旅行」の一時停止ではありません。緊急事態宣言も発令されていませんから、旅行に行きたいなら行ってもいいのです。それなのに、どうしてキャンセルが相次いだのでしょうか?