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SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #02

ネット文化の主役になりつつある、「何者か」になりたい若者たち【りょかち】

前回の記事:
InstagramやYouTubeが「カワイイ」を小宇宙化した、私たちはカスタマイズされた未来を夢見る

「何者か」になりたい若者が増加

 「個人がメディア化する時代」だとか、「ネットで稼げる時代」という言葉たちが、ニュースでそれほど取り上げられなくなったのは、それらが既に当たり前の世の中になりつつあるからだ。

 ブログをはじめとして、TwitterやInstagram、noteなど、個人が発信できるメディアの数は今や数知れない。何かしら一芸に秀でていたり、「ヲタク」をうまく昇華したりして自らを有益な情報媒体にすれば、すぐに個人が人気メディアになれる時代と言っても過言ではないだろう。

 「自撮り女子」としてネットで知られるようになった私も、そんなネット時代にうまく乗っかったひとりだ。ネットで活躍する誰かを羨ましがり、そのうち幸運にもネットをきっかけにチャンスを掴み、ネットから仕事をもらう立場になって約一年。自分の環境が変わったせいもあるだろうが、周囲を見ていても確実に感じるのは、「ネットで『何者か』になりたい人」が増えたという感覚である。

 現代のスターダムへの道筋は、過去に比べて圧倒的にシームレスである。手を伸ばし続ければ、すぐに掴めそうなネット世界でのキラキラした未来。「すぐに手に入るなら、やってみた方がオトク」よろしく、ネットで生きるこちら側の世界をチラチラと覗き込む人の視線を感じることが増えてきたように思う。
 
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「真似したい」と思われるために必要な現代のスターの素質

 そんな時代のスターに求められる条件は、「再現性」だ。

 とある美容系インフルエンサーの友人にスキンケアについて聞いたとき、いくつものハイブランドでケアしているお手入れ方法について教えてくれた。

 「こんなにお金を投資してお手入れしてるんだ!知らなかった。なんか、いつもネットで紹介しているモノはお手軽で安いものが多いから…」

 私がメモしながら感動していると、その子ははっきりと言った。

 「高いコスメばっかり紹介しても、多くの人にとって『再現性』がないでしょう?再現性の無い憧れを持ってもらうのは、テレビにでているセレブ系の有名人でいいのよ。私のようにSNSでみんなに支持されるアカウントは、みんながお手軽にきれいになってもらうような、『再現性のある』キレイを提案していかなきゃ」

 私はこの言葉に感動してしまった。彼女には、発信した先にいる誰かが見えている。双方向性の高いネット時代だからこそ、マスメディア時代よりももっと色濃くユーザーのニーズは発信者に伝わり、そのニーズからスターの姿かたちは作られるのだ。

 京都で暮らす歳の3つ離れた妹に、「最近、好きな有名人いる?」と聞いたところ「まえのん(前田希美)ちゃん!」と教えてくれた。理由は、「まえのんちゃんと一緒で、私もピンク系のメイクが好きだから参考になる」だそうである。
 
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 ここで重視されているのも「再現性」だ。毎日大量の選択肢から情報を選んでは浴びるわたしたちにとっては、前提として情報は機能性に溢れていなければ価値を感じない。当然、それのつくり手であるスターにもだ。

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