行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #08

歪んだ信念に、どう向き合うか。米連邦議事堂襲撃を行動経済学の視点で考える

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強い信念を持って、暴徒と化した群衆によるテロ事件


 2021年1月6日に発生したトランプ支持者らによる米連邦議事堂襲撃事件は、米国内だけなく全世界に大きな衝撃をもたらしました。すでに様々な媒体で詳細が報道されているので論評は控えますが、民主主義国家の米国である種の「陰謀論」を信じ込み、強い信念を持って暴徒と化した群衆によるテロが行われたことに筆者は驚きました。

 ちなみに、襲撃を実行した人たちが日頃から拡散していた情報は、米国だけでなく日本国内にも届いています。コーネル大学図書館が運営するアーカイブサイトには、米大統領選に関するデマアカウントのデータセットが載っていて、日本国内のアカウントも掲載されています。

 遠く離れた国の出来事なのに、なぜか彼らに対して強く同調する人たちがいる。一方で、陰謀論だろうと一蹴して全く相手にしない人たちもいる。その是非はともかく、常識的に考えれば変だと思うような内容を信じる人は一定数いるということです。



 なぜマーケティングの媒体である「Agenda Note」で米連邦議事堂襲撃事件を取り上げたかと申しますと、ある日突然、自社がSNS上で強い信念を持った人たちに巻き込まれた場合、どうするべきかをテーマにしたかったからです。

 実際、私の勤めるJX通信社は報道機関の側面を持ち、様々なニュースを配信していますが、SNS上では「内閣官房機密費をもらっている」「コロナ情報を国に言われるがままコントロールしている」と言っている人がいます。私たちからすれば、「そんなこと、あるわけない!」という話です。

 強い信念を持つこと自体は否定されるものでもありませんが、見方を変えれば頑固で偏屈とも言えます。信念に固執するがあまり、人を傷付ける場合もあるでしょう。

 そうした刃が、ある日、自社に向けられるかもしれません。そのとき、現場にいるのは読者の皆さんのはずです。言い回しや表現ひとつとってしても誤解が生まれるのがSNSです。以前に読売新聞が「大学生宅で鍋パーティー、参加の6人全員が感染」と報道したところ、SNS上では「『若者はけしからん』という流れをつくりたい意図を感じる」 「食事ではなくパーティって書く必要ある?」など、コメントで溢れ返っていました。

 たとえ、企業側は相手の指摘に「そんなつもりは無い」「そんなことは考えていない」と否定しても、「○○に書いてあった」と応酬が繰り返されるのが現代です。そうした社会で、私たちはどう振る舞うべきでしょうか?

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