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新・消費者行動研究論 #03

商品をロングセラーブランドに育ててくれる「消費者」の特徴【慶應義塾大学 清水聰】

前回の記事:
誰に買ってもらえれば商品がヒットするのか、新時代の先端層とは【慶應義塾大学 清水聰】

話題の商品を買う人と、ロングセラーブランドを買う人は違う

 多くの人が考える現代の「先端層」のイメージは、モバイルやPCの操作に精通し、インターネットを駆使しながら新しい商品情報に触れ、SNSを通じて情報発信している人だろう。

 実際、前回紹介した「情報循環層」は、まさにそのようなイメージの人たちで、クチコミマーケティングを考えていく上で、非常に有用な人たちだ。

 ただし彼らは、新製品を多くの人に広めてくれるのは確かだが、その新製品がロングセラー商品として育っていくのかは別問題だ。

 彼らは、話題になりそうな、まだ誰にも知られていない新商品を探し出し、発信するのが得意なため、人々のトライアル購買を誘発することはできるが、ロングセラーになっていくために必要なリピート購買までは、考えて発信しないからである。
 
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 つまり、最初の立ち上がりには貢献してくれるが、長い視点でのブランド育成は「自分たちで頑張りなさいよ」ということになる。

 売上上位の商品とロングセラー商品を実際の購買履歴データで比べてみると、それらの商品を支持している消費者に違いがあることがわかる。売上上位の商品には、プロモーションや値引きに反応しやすい消費者が多く支持しているのに対して、ロングセラー商品の場合、「値段が高くてもその商品を買いたい」「その店になかったら他の店で買う」といった、その商品に対する愛着度合いの高い消費者が多く支持しているのだ。

 つまり、ロングセラー商品をつくることと、売上を優先するのでは、狙うべき消費者のターゲット層が違うことになる。

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