SNS・消費行動から見えてくる20代女子のココロ #29

無視できない「TikTok売れ」。その背景にある情報流通の革命とは

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ミスタードーナツ大量閉店から復活なるか? SNSで見る 「プチハレの日」量産作戦
 

「TikTok売れ」が頻発、無視できない存在に


 最近、「TikTok売れ」が話題だ。

 2021年以前から、音楽業界では “TikTokから流行った音楽”からヒット曲が生まれていたが、現在のTikTok売れは音楽だけが主役じゃない。

 例えば、7月には、30年前に発売された筒井康隆さん執筆の『口紅に残像を』という小説が突如売れ始め、3万5000部の緊急重版がかかったという事例があった。また、TikTokの投稿から、ファイブミニの売上が突如2倍になったという事例もある。

 様々な商品を消費したり、あるいは売ったりする人にとっては、InstagramやYouTubeだけでなくTikTokも無視できない存在になってきている。

 しかし、様々な事例を見ていると、TikTokのすごさは、その影響力の大きさだけではないのを感じる。TikTokは、TwitterともInstagramとも異なる新しい情報流通を生み出していると思うのだ。
 

TikTokのすごさは、興味がない人に興味をもたせるところ


 TikTokの“売れ方” のすごいところは、クラスタを越境しているところである。例えば、小説『口紅に残像を』では、Business Insiderの記事の中ではこのように語られている。
 
 同書はもともとロングセラーの定番商品として長く親しまれてきた作品だった。

 しかし主要な書店チェーンで「7月1日~27日の27日間の売上冊数」とけんごさんがTikTokで同書を紹介した翌日からの「7月28日~31日までの4日間の売上冊数」を比較すると、なんと17倍に跳ね上がっていたという。

 また同チェーンで7月28日以降に書籍を購入した購買層を調査すると、男女ともに29歳以下がはっきりと増えていることが分かったそうだ。このことから同社では「今までリーチできていなかった層に伝わった」と手応えを感じている。

   出典:「TikTok売れ」で30年前の実験的SF小説が3万5000部の緊急重版……メガヒットに出版社も熱視線 (Business Insider)

 1週間の売上の差は17倍、そしてリーチしているのは全く新しい層である。
 
 私は就活生時代、出版社を志す学生だったが、たびたび「もう本は売れない」「活字は読まれない」「特に小説は若い人が読まない」と言われてきた。

 もちろんこれまでも、TwitterやInstagramがヒット小説を生んできた事例もあるだろう。しかし、あくまで、特定のクラスタを中心にしたものだったり、カテゴリーが偏ったものばかりだった。

 TikTokは、これまで注目もされなかったし、ヒットも生まれづらかった領域でヒットを生み出す可能性を秘めたメディアだと思うのだ。そしてそれを支えているのが、優秀なアルゴリズムだろう。

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