SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #32

個人と企業の境界が曖昧になる今、社員のインフルエンサー化で気をつけたい4つのポイント

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ことばは、古い。若者世代は、絵文字や画像からその人の価値観や世代を判断する
 

企業SNSの「個人メディア化」に注目


 「誰が言っているかより何を言っているかだ」というのは、ビジネス界隈でよく聞かれる目指すべきマインドセットだが、ことプロモーションに関しては年々「誰が言ったか」が重要になっているのではないだろうか。

 “個人メディアの時代” から数年が経ち、メディア化した個人は当然、広告化した個人にもなった。今やプロモーションを担当する人なら、インフルエンサーマーケティングという言葉を知らない人はいないだろう。

 そんな中、最近話題なのが「企業SNSの個人メディア化」だ。古くは、企業の公式Twitterが人格を見せる「中の人」や、企業の社長がTwitterをやることがSNSの新しい使い方だったが、今やベンチャー企業を中心に社員がSNSを使って自社の宣伝をするのは当たり前になってきた。そして実在の社員が顔出しで個人Twitterを運営する「インフルエンサー社員」をつくろうとしている動きも活発だ。最近だと、資生堂が社員インフルエンサーの育成を行うと発表して話題になった

 社員がインフルエンサーになることは、企業発信よりも内面が見えてファンがつきやすい。何よりどのインフルエンサーよりも商品やブランドのことを熟知しているのも強みだ。個人が打ち出しているだけに信頼できる情報としてメッセージを受け取ってもらいやすいだろう。

 一方で、投稿が炎上した際のリスクや個人のメンタルの問題がある。私自身は所属している企業のアカウントとしてSNSを運用したことはないが、企業インフルエンサーのような活動をする友人は多く、そういった企業のSNS運営について相談を受けることも多い。また、ひとりのインフルエンサーとして、そうした企業に所属するインフルエンサーがどのような葛藤を抱くのかもよくわかる。

 そこで、今回はインフルエンサーの立場から、「企業の個人メディア化」が進む今だからこそ考えておきたい、「企業の資産として個人SNSを運営する上で気をつけて欲しいポイント」を紹介していければと思う。


 

個人と企業のSNSの境界が曖昧になる今気をつけたい4つのこと


 1.    炎上したら、どうする?個人の責任だけにするではなく企業で対応を

 まず、SNS運営で、しばしば恐れられるのが「炎上」だ。もちろんSNSを運営するならば、常に価値観をアップデートして誰も傷つけない表現をすることは必須だ。しかし炎上には様々なケースがあり、完全に防ぐのは難しい。

 だからこそ、考えておきたいのが「炎上したとき、どうする?」である。どういった段階で、誰に相談するべきか。事前に相談しておくほうがいいだろう。大切なのは個人の責任にしないこと。それはつまり、個人で対応しないことにも通ずる。企業として発信しているなら、炎上時 “企業として” どう対応するのか考えておいてほしい。

 2.人前に出て発信するのは大きな精神労働。メンタルケアは必須

 SNSで不特定多数に発信することは、精神的な負荷も高い。大きな炎上をしたときは個人攻撃とも思われる批判が山のように来るし、炎上とはならなくても批判に晒されるのはしょっちゅうである。多くの人に自分のことを知られるということは、プライベートでもたくさんのストレスがある。加えて、緊急対応なども含めると、SNS運営は24時間対応だ。

 私も5年以上フォロワー1万人以上のTwitterを運営しているが、精神的に厳しいコメントをもらうことは数しれない。誰にでも耐えられることではないと思う。

 だからこそ、丁寧なメンタルケアが必要だ。定期的に話を聞いたり、運営方針・継続意識などを聞いてあげたり、必要ならば適切な診療が受けられるフローを整えたり、精神的なケアを十分に行う準備をしてスタートしてほしい。

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