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生々しい事例から考える、BtoBマーケティング推進における難題「部門間連携」への向き合い方

 「BtoBマーケティングの推進において、部門間連携が上手くいかない企業は業績も悪い」と頭では理解していても、実際は何から始めたらいいか分からず、課題を抱えたままという企業は多いのではないでしょうか。顧客のPMF(Product market fit)を支援するPMFコンサルティングが2023年7月、「部門間の業務連携に関するアンケート」を実施し、同社 顧問の菅野勇太氏が「『マーケティングと営業の連携』を阻む意外な“壁”の存在とは?その実態を暴く調査レポートを徹底分析」という考察記事を公開しています。

 このアンケート調査では、部門間連携の問題の全体像が定量的に明らかになった一方で、各企業が抱える問題の背景や解決アクションに至る経緯などを個別に拾い切ることはできていません。そこで同社では、定量調査の限界を定性的なアプローチで補完する取り組みとして、定期的にコミュニティ活動を行っています。座談会のような形式でこれまでに2度開催し、10社以上のリアルな声が集まりました。次回は、11月28日にゲストとして、リクルートの現役部長とOBを招待し、「マーケティング、営業、経営の連携」をテーマに行います(下記URLで参加者募集中)。今回は、そのコミュニティ活動から、5つの生々しい事例をピックアップして、部門間連携のポイントをご紹介します。
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事例1:外資マーケティングSaaSベンダー/インサイドセールス担当Aさんの場合

 
・マーケティング、インサイドセールス、セールス、カスタマーサポートまで、いわゆる‎THE MODEL(ザ・モデル)式の組織運営がなされている。
・インサイドセールスは独立部署として、セールスにリード(商談のアポイント)を供給する役割がある。
・インサイドセールスで成果を上げれば、セールスや他の上位ロールに昇格ができる。

 一見すると、この事例は理想的なワークプロセスですが、Aさんが抱える悩みは深いようです。

 まず、インサイトセールスからの昇格基準となる「リード供給」において、数よりも質が評価されるという点がありました。質の評価は、リードを受け取るセールス担当者にとって「そのリードが良かったかどうか」という極めて主観的なものです。そのため、比較的甘めの評価を下すセールス担当者であれば、インサイドセールスを高く評価するなど、「評価」が偏ってしまうことがあります。

 また、インサイドセールスは、リード供給後に商談が進むと関わることができなくなり、商談後の情報が還元されません。それではサポートも行えず、機会損失につながり、インサイドセールスとしての行動を見直すPDCAも回りにくいでしょう。

 さらに、Aさんは「情報の分断はマーケティングとインサイドセールスの間でも起きている」と指摘します。本来はインサイドセールスの戦術と連動してマーケティングの計画を立てるべきですが、そういったコミュニケーションが一切ないため、たとえば、マーケティングイベントが実施されて初めて、インサイドセールスがその内容を知ることさえあるそうです。

 仕組み上は「THE MODEL」が実現できていても、KPIの置き方が不適切であるゆえに本質から外れた事態が起きてしまったり、分業を意識するあまりマインドの結びつきが軽視されてしまったりすれば意味がありません。この事例は、組織のフレームワークが常に完璧ではないことを教えてくれています。
 

事例2:大型スタートアップ/カスタマーサクセス執行役員Bさんの場合

 
・クラウドファンディング事業を運営。
・CS(カスタマーサクセス)は、エンドユーザーによるクラウドファンディングの申込みから案件詳細ページ作成、案件単価の設定までをサポートする役割。

 この事例は、マーケティング、プロダクト、CSがひとつのKGIに向かって動き始めてから部門間の議論が活発になり、連携がスムーズになったという好例です。

 以前のマーケティング部門は、クラウドファンディングに申し込んだ人をいかに案件詳細ページの作成に繋げるか、という思考で手一杯になっており、目標も目先の「ページ作成件数」だけに留まっていました。一方、プロダクトとCS部門は、それぞれ異なるKPIが設定されていたものの、その先のKGIとしては同じGMV(流通取引総額)を追っていました。

 Bさんによると、この思考や視点の違いが、組織力の発揮を限定的にしてしまう課題だったそうです。そこで、マーケティング部門もプロダクトやCS部門と同じく、最終的にはGMVを追っていく方向に舵を切りました。その結果、目先のページ作成件数だけでなく、案件の単価を上げていかに大型案件を増やすか、そのためにどのようなターゲットを開拓すべきか、という思考に変わっていきました。

 役割の違う部門がそれぞれのKPIを追いつつも、最終的にはKGIにつながらないと意味がない、という考え方を共有することによって、これまでよりも会議が活発になったということです。

 他社では、マーケティングの目標が限りなく売上に近づくことで、営業との不和の解決を図るという事例をよく耳にします。しかし、この事例ではどちらかの部門が片方の目標に寄り添うのではなく、それぞれの持ち場でKPIを持ちつつも、ひとつ上の階層のKGIを全員で共有する意識によって解決を図るという違いがあります。
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